ベタアリ

 体長5mmほど。主にボンタス地方に生息する。
 アリの集団社会はよく国家に例えられるが、実際はそれほど国家らしくもないと思う。特に子どもを産む担当のアリを女王と呼んだりするのなんて、まったくもってどうかと思う。
 ベタアリはその流れに対し、いっそのこと開き直って乗ってしまえ、というノリで生きているアリである。
 よって実に分かりやすい外見をしている。もうほとんど漫画レベルだ。女王は王冠を被ってローブみたいのを羽織っているし、兵隊アリは銃みたいなの持ってる。すごいベタ。ご存知の通り巣にいるアリのほとんどはメスなわけだが、働きアリはあえてキャリアウーマンではなくサラリーマン仕様になっている。あくまでもベタなほう、ベタなほうに行きたがる傾向があることが窺える。
 しかしこうまで「女王アリ」「兵隊アリ」「働きアリ」だと、逆にそう呼びたくない気がしないでもない。希望どおりのものが希望どおりに差し出されると、逆に気持ちが萎えたりすることって珍しくない。もしかするとあまりに恣意的な名称をつけた人間社会への、アリからのアンチテーゼなのかもしれない。
 筆者は個人的には女王アリのことを原子炉アリと呼んではどうかと思うのだが、その場合ベタアリの外見はどのようになるのだろうか。


最終更新:2009年07月07日 16:03