体長80mほど。ボンタス地域、ヒンガム地域などの上空に生息。
いわゆるひとつの龍である。いるかいるかと言われていたら、やっぱりいた。そしていちど発見されると箍が外れたように、これまで伝説でしか残っていなかったのが嘘みたいに目につくようになった。特にボンタス地域ではそれが顕著で、その密度はカラスを凌駕するほど。
生物相というのは長い年月で繰り返されることもあるわけで、すべての
生きものが1年周期で「○月に発情期を迎え、△月に子どもが産まれる」みたいに動いているわけではもちろんない。だからリュウサンの場合、その周期がえらく長大であったものと考えられる。かつて何千年も前に大量発生し、世界各地に様々な伝説を残したのちに姿を消し、そしていまふたたび数千年ぶりに隆盛しているのだろう。
果たしてその大量発生のメカニズムとはどのようなものか?
われわれの前から姿を消している間のリュウサンはどこで、そしてどういう形で生存しているのか?
リュウサンの生態は謎の部分が多く、われわれの研究意欲を奮起させて止まない。その数千年の時を経ても変わらずに神秘的な存在に対し、尊敬の意味合いを込めて日本人学者が「龍さん」と呼んでいたら、それが国際表記に採用された。よってリュウサンは世にも珍しい、敬称付きで呼ばれる動物である。だからもちろんリュウサンが社長を務める会社の社員は、他社の人と話しているときはリュウサンのことをリュウと呼ばなければいけない。
ちなみにリュウサンの主食は
ヨコヅナで、
ヨコヅナもまた最近になって発見された新種の生きものであるがゆえに、そこにリュウサン大量発生の謎が隠されている可能性は高く、この2種の関係は非常に興味深いところである。雄大なロマンを感じる。