ヴァッサヴァッサフォニャフォニャドリ

 体長50cmほど。ボンタス地方、カイホ地方に生息。
 すべての羽根を抜くと、大きさが3分の1以下になることで知られる鳥。
 原色ばかりの派手な色合いも含め、その豪華すぎるボリュームの羽根には、これまで動物学者の間でさまざまな議論がなされてきた。
 いったいなぜヴァッサヴァッサフォニャフォニャドリはこれほど過剰な羽根を持つのか?
 はるか昔から現在に至るまで、永らく動物学会を悩ませつづけてきた謎のひとつである。数多の説がある中で、有力とされるのは以下の3つだ。
 ひとつ目は「ディスプレイ説」。
 孔雀の羽根しかり、鹿やトナカイの角しかり、実質的な機能性を持たないものが絢爛であればあるほど、それはその持ち主の能力が高く、生きていくにあたり余裕があることを示している。そしてそれは雌が雄を選ぶ上で分かりやすい判定基準となる──という説。
 ふたつ目は「誇張説」。
 ライオンのたてがみなどに見られるように、動物は他の種から見くびられないようにするため、自分の体を大きく見せようとする傾向がある。ヴァッサヴァッサフォニャフォニャドリもまさにそうで、飛んでいる姿は怪鳥かと見紛うばかりのスケールである。そのようにして捕食者からの襲撃を免れている──という説。
 そしてみっつ目が「擬態説」。
 毒を持つ昆虫やキノコは、一般的に色合いが派手なことが多い。それは顕示することによってはじめて、毒を持っているという特性を生かすことができるからだ。そして中にはそのような毒性生物に擬態する、毒を持たない種というものも存在する。ヴァッサヴァッサフォニャフォニャドリ自身は毒を持たないが、つまりそれは毒を持っているなにかの擬態なのではないか。擬態したはずのオリジナルがあろうことか絶滅してしまい、それがなんだったのかよく分からないけれど、とりあえず最初のコンセプトはそういうことだったんじゃないか──という説。
 当然のことながら、なにが正解かは分かっていない。さらなる研究が待たれるところである。
 とりあえず主食はハンツムリである。だけど体が小さいから、ハンツムリを半分ぐらいしか食べられないことが多い。半分だけ残されたハンツムリはなかなかグロい。


最終更新:2009年07月07日 16:11