体長3cmほど。カイホ地方に生息。恋人画。
絵を見る限り、ぜんぜんおもしろくない。恋人の一口メモには、「
ヴァッサヴァッサフォニャフォニャドリの落とした羽根を使って巣を作る」とだけ書いてある。それだけだ。やはりおもしろくない。わりと普通の芋虫じゃねえか、と思う。
あまりにも生態について書くきっかけが掴めないので、恋人に電話した。
「イモモの特徴ってなに?」「えっ……、すごく色彩感覚が優れてるよ」
「他には?」「えっと、鼻が利くよ」
「なにかに擬態したりしないの?」「えーと、ジャガイモに擬態するよ」
……膨らまないなあ。やっぱりけっこう普通の芋虫だと思う。
っていうかよく考えてみれば芋虫って、ほとんど「幼虫」みたいな言葉ではなかろうか。蝶の芋虫、蛾の芋虫、そんな風に使われる言葉だと思う。だから虫の名前として使うのはどうかと思う。イモモが成虫になったらどうするのか。それでもイモモはイモモなのか。このイラストはイモモの芋虫状態なのか。
それともこれは、一般的に考えられる「芋虫」ではないのだろうか。むしろ「芋虫状の虫」だからイモモなのであって、イモモ的にはイラストにあるような状態でもう成虫なのかもしれない。イモモが、サナギ段階を経て変態する蝶や蛾の仲間でないとすると、十分にそういう可能性もありうる。
いや、そもそも「成虫」という表現が間違っている可能性もある。恋人はこれが「芋虫」だとも「蝶や蛾の仲間」だとも、ましてや「虫」だともまったく言っていないではないか。
それゆえ、「色彩感覚に優れている」という明言された特徴から類推するに、もしかしたらこれは羽根の退化した鳥かもしれないと思う。
ヴァッサヴァッサフォニャフォニャドリの羽根を集めるという生態を鑑みても、イモモは飛ぶ機能を失ってしまった鳥であればステキだと思う。
「退化した鳥かもしれない」って便利だなあ。生活の中でもっと使っていこう。