体長8cmほど。ケロポ地方に生息。ぱぴこさん画。
一口メモによると、
「
エヌゴーマルアイ等が発する電波をキャッチし、それを体内に吸収し、栄養にして生きている。しかしあまりに日々神経質なまでにアンテナを張り巡らして生きているので、体に悪い電波もいろいろ吸収してしまい、毒とストレスによって体に斑点ができた」
という
生きものらしい。
エヌゴーマルアイの次だから、電波をキャッチする生きものなんだろう。分かりやすい。
ちなみにどうでもいいことだがケロポ地方は、これまで紹介した生きものたちが棲んでいたカイホ地方から、はるかに離れた場所にある土地である。具体的に言うと、カイホ地方は南半球だが、ケロポ地方は北半球である。なのに
エヌゴーマルアイの電波を受信する。
エヌゴーマルアイは世界ケータイらしい。
それにしても「電波をキャッチして体内に吸収し栄養にする」というのは、なかなかSF的でおもしろい考え方であると思う。
考えてみれば植物だって、葉緑体によって光合成して生きているのだ。だから光ではなくて、電波を吸収して栄養にする生きものがいても決しておかしくない。
なにしろあまりにも多量の電波が垂れ流されている現代だ。
テレビ、ラジオ、ケータイ……その電波量たるや、太陽系を蔽い尽くさんばかりである。だからそれをエネルギーにして栄養に変換する機構を持った生きものがいれば、その生きものは永遠に食いっぱぐれることはありえないだろう。ハルマゲドン後の電波まみれの地球に生き残るのは、もしかしたらデンパッパだけかもしれない。
そういう感じの生きもの。
しかしこのデンパッパにしても、考えなければいけないのは、「人間が電波を垂れ流すようになる前から生きていた」ということだ。
だから当時はもちろん、デンパッパははるか南半球から流れてくる
エヌゴーマルアイの電波だけを吸収して生きていた。言うなればそれは、「牛と糞転がし」みたいな関係であると思う。つつましやかでほのぼのとしている。
それが数十年ほど前から乱れ始めた。原因はエネルギーの過多である。すなわち人間が電波を発し始めたせいで、それを吸収してしまうデンパッパの生態バランスが崩れてしまったのである。
しかもその電波は
エヌゴーマルアイのそれに較べて、質がきわめて悪い。無言電話とか非通知ワンギリとか、そういう汚い電波ばかりである。
そんなわけで、右のような姿だった生きものが、現在の上のようなものになってしまった。座礁したタンカーから流出した石油まみれになったペンギンよりももっとひどい。
脚はフラフラ、目も虚ろ。
かつて賑わっていたデンパッパの社会も、今では廃人の集団のようになってしまった。まったくもってこれはハルマゲドン後の風景を思い起こさせる生きものであると思う。