「デビル・メイ・クライだ」
『合言葉はないが――――私の声を覚えているか?」
ぽろり、と、ダンテの唇からピザが落ちた。
「……シズクか?」
『ああ』
ダンテはもちろん、その声を覚えていた。昔――――といってもまだ二年もたってないか。日本で『仕事』をしたときにかち合った仇敵――――そう、仇敵だ。たしか、ツキムラ。シズク・ツキムラ。
『盛大に殺し合いをした仲だが、テメエがその話を蒸し返すようなエアヘッドの白人豚じゃないなら、ビジネスの話を聞く気はあるか?」
「なあ黄色猿。お前らは口で屁を垂れることを会話っつーのか? ……ああ、内容と報酬次第でテメエとでも握手できる程度にはプロのつもりだがよ」
苛烈な言葉とは裏腹に、ダンテの顔は笑んでいる。
シズク。
シズク・ツキムラ。
ダンテが知る限り、自分バリにクールでタフで、なによりなによりクレイジーな、この世でただ一人の女。
『ネメシス』の右。雷の双剣士。
「知ってのとおり俺は――――悪魔泣かすことしか興味ねェぞ」
『だからお前なんだよ、ダンテ。当方が自信を持ってオススメする、頗るつきの地獄が日本にあるぜ。ひとついいとこ見せてくれや』
30分後。
ダンテは愛用の大剣と拳銃をぶら下げて事務所を出た。
フェイカー。セイバー。サンダラー。ウォリアー。そして――――
最後の席に座ったのは、ハンターだった。
最終更新:2007年09月25日 13:40