ハロウ・ワールド

友永和樹、友永遥香、ついでに式神のエテコウ。

彼らには共通の敵がいる。

それは、唯己の好奇心を満足させる為に彼らの体を弄り回す悪魔。
それは、無邪気故の残酷さで彼らを捉えて放さない天使。

「エテコウは!?」
「しまった、分断された!」

その意思には善意しかないが、同時に欠片も慈悲は無い。

「遥香ーーーー!!」
「兄さーーーーん!!」

故に、それから逃げる術は無く。

「もう、お仕舞いなんですね……。



 ……………………………………………………深佳さん」



それの名は、久我山深佳と言った。






「って。人を外道みたいに言わないでよ!」
『違うんですか?』
「違う! ってそこ! 何本気で驚いてんだよ! 遥香も、純真そうな顔して首傾げるな!」

此処は久我山深佳の個人工房。久我山家の敷地内にあるこの建物は、深佳の仕事場であると同時に個人的な趣味の為の場所でもあり、

「あーもういい。とにかくさっさと改造しちゃおうか。この間忍姉えがいいパーツ送ってくれたんだ。あ、ウエストさんも面白い設計図くれてたっけ。ついでだから試してみようか」

「「『嫌だーーーー!!』」」

簀巻きにされている友永兄妹+1にとっての、鬼門である。

「ん、メンテはちゃんとしてたんだ。でも結構外装が痛んでるなあ。よし、ついでだから全身感応金属にして、新しい変形機構でも着けてみよう。ドリルとか」
『変形関係ないですよ!?』
「む、じゃあ思い切ってサル耳メイドモードとか」
『嫌です!』

エテコウはむやみやたらと変な装備をつけられ。



「どうだ! これこそ忍姉えのノエルやウエストさんの『破壊ロボ』に対抗した『量産型ジャイアント遥香』、通称『G遥香』!!」
「これじゃあ、下着が丸見えじゃないですか!!」
「………………」
「……兄さん。まさかとは思いますが」
「大丈夫、見ていない……と思う」

遥香は自分の分身に次々と謎のバリエーションが増えていることに頭を抱え。



「ついに完成! “無差別広域破壊対人兵器『天叢雲』”!!」
「…………色々矛盾した名前だけど、それやっぱり」
「和樹の」
「……参考にしたのはエルザさん?」
「うん」
「………………………………。
 初めまして、この世界。
 さようなら、かつての世界」
『って流石に魂織はまずいです!』
「深佳さん逃げてーーーー!!」

和樹は数えることも億劫になるほどのヘンテコ装備に正気を失う。



「此処が、あらゆる技術の終着点――――“アクセルエボリューション”!!」

そしてお約束。テストを兼ねた模擬戦。



そんなこんなで、約一名限定の、穏やかな日々は過ぎてゆく。
まあ、実際は他の三人もそれなりに楽しんでいるのだが。――――あくまで思い出として。

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最終更新:2007年07月06日 02:02
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