『未来』
その概念を発生させた偽身能力者の少女が居た。
まだ年端も行かない少女は、しかしその概念能力を定義してしまったがために、その能力を悪用せんとする有象無象達に、その命を狙われ続ける。
だが――――――――――――
「依頼期間は………………“死が二人を分かつまで”、よ」
少女は詠う。確定していない未来の姿を。誰もが知らない世界の道を。
「前から思っていたが……お前には“覚悟”が足りない」
男は走る。線と凹凸だけの世界で。神でも斬れる刃を振るい突き進む。
少女は捕まることが無い。少女は捕らわれることは無い。
彼女を護るのは神殺しの剣を持つ者。
暗闇の世界を生き、たった一人の少女のために世界を敵に回す者。
彼の者の見えない目をすり抜けて、少女に到達することなど出来はしない。
少女の“目”をすり抜けて、彼を出し抜くことなど出来はしない。
『ならば二人で進み行こう、光なき世界を歩き行こう
未来は常に見えぬもの、二人で探って走り行こう
漬きえぬ誓と穢れぬ誇りを胸に抱き、二人でどこまでも共に行こう』
これは、『未来』を見る少女と神をも『断つ』男の逃避行
『我らはとまることは無い、そう――――“死が二人を分かつまで”』
パラレル・パラドックス外伝
果て無き無明のコンチェルト ~死が二人を分かつまで~
最終更新:2007年07月09日 00:33