「必ずキミを――――神様に戻してあげるから」
東 葉月は17歳の、少し特殊な神術士。彼女が信じるカミサマは、彼女自身と姉の初美しか知らない、「コゲ」という奇妙な布切れだった。
今からちょうど10年前。「とある事件」で大火災に巻き込まれた幼い彼女と初美は、当然にその時、死ぬはずだった。だが、煙の渦巻く地獄の中、初美を背負って逃げ惑い、とうとう追い詰められた葉月を最後に助けてくれたのは――――実のところ、彼女もよく覚えてはいない。
だが、病院で目覚めたとき、コゲはすでにそこにいて、駆けつけた両親から、瓦礫の中から彼女たちが発見されるその一瞬まで、「彼」が煙と炎から二人を守ってくれたのだと聞かされた。けれど、彼自身は
「え、いやあ……っていうか、俺ってナニ?」
葉月は幼心に思いました。なんか話がめんどくさくなってきたと。
最終更新:2007年07月06日 02:31