先ほども述べたように、プライマリーバランスは2007年度にも黒字化できる。これは、政府目標である2011年度よりも4年も早いわけだ。
それならば、何も焦って消費税率をアップすることなど必要ないではないか。「安定的な歳入が必要だ」などと言う人たちがいるが、それならば法人税減税をやめればいい。
ただでさえ、来年度は定率減税の廃止によって、さらに税収が1兆円伸びることになっている。もうこれ以上、一般国民に対する増税は必要ないではないか。少なくとも、財政再建を目的とした消費税率アップは、もはや必要がなくなっている。そんなことは、財政をやっている人ならば誰でも分かっているだろう。
では、それなのになぜ消費税率を上げようという話が消えないのか。それは、減価償却の拡充や法人税率の引き下げといった法人減税を行うための財源として必要だからではないか。
だが、いま救うべきなのは、空前の利益を上げている法人ではなくて、年収200万円程度で暮らさざるをえない庶民ではないのか。
わたしは、なにも安っぽい正義感だけで、庶民のためになることをしろと言っているのではない。いくら景気が上向いたといっても、国民の所得を伸ばして消費を拡大しなければそれは続かないのだ。たとえ企業の投資が伸びて生産力が上向いても、庶民がモノを買うことができなければ、やがて景気は失速してしまうだろう。それをわたしは恐れているのだ。
だが、わたしがいくら数字を挙げて、「消費税など引き上げなくてもいい」と論理的に説明しても、なかなかそれを理解してもらえないのが残念だ。それどころか、やれ財政が分かっていないだの、経済オンチだのとヒステリックな反応ばかりが返ってくる。揚げ句の果てには、非国民呼ばわりされる始末だ。マスコミにしても、借金の額ばかりを示して不安をあおっているばかりである。
だが、もう少し冷静になって数字をチェックしようではないか。そうすれば、現在の日本の財政状態の本当の姿が見えてくるだろう。そして、一般の国民も、政治家やマスコミに言われるがままに信用するのではなく、さまざまな意見を聞いて判断するようにしてほしいのだ。
わたしにとって、何よりもミステリーなのは、誰が見ても明らかな企業減税・個人増税という流れに対して、サラリーマンがただ黙って従っていることなのである。
最終更新:2006年12月25日 12:55