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オカシイ世の中覚え書き

核心・本間政府税調会長辞任~改革象徴失い政権に影ー2006.12.22

今月に入り、安倍政権を悩ませ続けてきた本間正明政府税調会長の官舎入居問題は二十一日、本間氏の自発的辞任という局面を迎えた。「改革のシンボル」の退場劇に、首相官邸サイドは、安倍晋三首相に任命責任はないことを繰り返し強調し、火の粉を振り払うのに必死だ。しかし、その姿は国民にどう映るのだろうか。そして「安倍改革」の前途は。 


 本間氏から首相公邸の安倍首相に電話が入ったのは二十一日午前九時すぎ。「一身上の都合で、税調会長職をどうしても辞任したい」という本間氏に対し、安倍首相は「どうしても、ということなら」と特に慰留はしなかった。

 前日まで首相は「職責を全うしてほしい」とかばっていたが、本間氏の自発的な辞任申し入れを断る理由はない。むしろ「渡りに船」だったといえる。

 ただ、この場合でも、任命者としての安倍首相の責任は免れない。これに対し、塩崎恭久官房長官は「『一身上の都合』なので、任命責任の問題ではない」と繰り返す。首相に責任が及ばないように躍起になっているのはありありとうかがえるが、ここまでくると、政府の「説明責任」さえ果たしていないという印象も与えかねない。

 確かに、安倍官邸に同情すべき点はある。

 本間氏が官舎に入ったのは、小泉政権下で経済財政諮問会議の民間議員を務めていた二〇〇三年一月。〇五年三月の諮問会議で、官舎売却を提言したのも、当時の竹中平蔵経済財政担当相ら、政権の意向に沿ったものだった。「前政権の話」(政府筋)と嘆きが漏れるのも、ある程度は理解できる。

 ただ経過をたどれば、安倍政権の責任もある。本間氏が税調会長に就任した際に官舎に住む必然性などについて、チェックした形跡はない。

 今回の事態は、政治主導、官邸主導を目指す安倍首相の政権運営に影を落としかねない。

 安倍首相は、有能な民間人の登用や公募による官僚の抜てきに意欲的で、本間氏の起用は、その代表例だった。

 今回の失敗で、安倍首相が政治主導での人事登用に慎重になれば、「安倍改革」はさらに色あせたものになる懸念もある。

 「政府税制調査会の権威を高めていきたい」。本間氏は今月一日、来年度の税制改正答申を安倍首相に手渡した後の記者会見でこう抱負を語った。だが、自らの失態は、政府税調の権威ばかりでなく、安倍政権にまで大きな傷を与える結果を招いた。

 本間氏は「企業の競争力強化の観点から法人税減税を行って経済を活性化し、それを通じて一般国民の生活向上や財政再建を図る」という考え方の持ち主。増税より経済成長を優先する「上げ潮路線」の安倍政権にはぴったりの人物だった。

 実際、税制改正答申では減価償却制度の見直しなど企業減税を並べたうえに、法人税の実効税率引き下げにまで言及。一方、消費税には一言も触れなかった。それだけに経済界には「法人税率引き下げは、これで後退する」と落胆の色もにじむ。

 ただ、安倍政権の成長戦略が必ずしも多くの賛同を得ていたわけではない。公明党の北側一雄幹事長は二十一日、「成長は大事だが、地域格差や雇用問題、所得再配分など、税制面でどうするかは極めて重要だ」と述べ、政府税調が企業減税一辺倒から脱却し、格差問題などにも目を配るよう求めた。

 そして来年は消費税増税論議が避けて通れない。来年度予算財務省原案では、税収が前年度当初より七兆五千億円も増えて財政再建に貢献した。

 しかし、これは景気回復による税収増に尽き、来年以降も順調に景気が拡大するかは不明。その一方で、財政再建は待ったなしの状況だ。政府・与党内の「増税派」が相対的に力を増し、安倍政権が成長路線を微妙に軌道修正していく可能性はある。

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最終更新:2006年12月26日 01:46