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オカシイ世の中覚え書き

同じような記事を書いていると排除される

――日本の新聞社、通信社は世界中に記者を派遣していますが、相当な費用がかかっているのではないでしょうか。

湯川:
 世界に取材ネットワークを持っている会社はテレビ局を入れると、おそらく10社ほどあります。それは大きな取材力だったのですが、今後はネット上にニュースが流れるようになると、テレビも新聞も通信社も関係ないので、激しい競争になるでしょうね。

 地方紙はまだ堅調だというお話がありましたが、それは競争が割と少ないからでもあります。常に地域の情報を独占できるので、まあまあやっていける。一方、10社が同じ土俵で戦うとなると熾烈になります。

 私は世界中の新聞社、通信社、テレビ局、個人のブログの流すニュースを一覧表示できるソフトをパソコンに入れてありまして、40サイトほど登録してあります。1日に目を通す記事が600~800本ほど。

 はじめは日本の大手新聞社3紙を登録してあったのですが、ほとんど同じことが書いてあるので、いまは1社だけ登録しています。ボタン一つで簡単に解除できますからね。そのように同列に並べて記事が簡単に読めるようになると、同じような記事を書いているマスメディアはどんどん排除されていくでしょう。

――戦争報道などで、日本の新聞記者はあまり戦場に行かないという話も聞きます。これに比べて外国の記者は犠牲になることも多いが勇敢に取材して、いい記事を書くことが多いような気がしますが、いかがですか。

湯川:
 戦争とか紛争が起きると、行きたいという記者は私の回りにも山ほどいます。私も本当に戦争取材がしたくて仕方ありませんでした。それで命を落とすことになってもいいと思いました。日本では実際の戦争を見る機会などない。そうした機会を得ることができるのは私たちの喜びなんです。

 だから、記者個人としては日本人が欧米記者より劣るとか、ジャーナリスト精神が足りないということはないと思います。しかし、労働組合の問題はあります。労働組合の存在によって危険な場所には積極的に行けない。だから、多くの場合、フリー記者が戦争や紛争現場で取材し、大手メディアに配信しているのです。

歌川:
 どこの国でもやる気のあるジャーナリストも、ないジャーナリストもいる。日本だけが劣っているとは思いませんが、一つアメリカと比べて違うのは日本の方が「会社あっての記者」という意識が強いかもしれません。アメリカの場合は、あくまでも個人がたまたま新聞社などに勤めている。そして、自分自身が断固として報道の自由を追求していくんだという気概を持った記者がいる。

 そうした気概を持てる文化なのかどうかが背景にあるが、記者個人の資質の差というものはないと思います。

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最終更新:2006年12月28日 02:44