オカシイ世の中覚え書き

労基法改正で兼業禁止規定も無効に

私はこの制度に関し、個人的には反対ではない。というのも、確かにクリエイターやマーケッター、デザイナー、インベストメントバンカーなどの専門職の仕事を労働時間で測ることは難しいからだ。

 だが、彼らの収入は400万円という水準ではないだろう。1000万円~2000万円以上という年収の専門職にはホワイトカラー・エグゼンプションを適用すればいいが、年収400万円のサラリーマンと一緒にするのは乱暴な話だ。

 厚生労働省はホワイトカラー・エグゼンプションを実現するために、来年、労働基準法の改正を目指しているが、経済界と労組が対立して、まだ合意には至っていないようだ。

 労基法の改正では、もう一つの議論もある。これはいい話だと思うが、大半の企業で就業規則に盛り込んでいる「兼業禁止規定」を無効にする改正だ。無効にすることはほぼ確定だという。

 これまでも企業側が兼業した社員を処分し、社員が処分取り消しを求めて争う裁判が何度か行われてきた。その中で、一定の条件が満たされれば処分の取り消しを認める判例も生まれてきた。それは「ライバル企業で働かない」「勤務時間中に働かない」「本業に悪影響を与えない」という3条件である。

 とはいえ、判例が確立していたわけではない。中には兼業禁止規定は無制限で適用できると考える裁判官もいる。したがって、法律で正式に兼業禁止が無効になり、自由になるのはサラリーマンにとっていいことだろう。

 しかし、問題はホワイトカラー・エグゼンプションとセットになっていることだ。終電まで働かされても、給料が減る分、土日に兼業して取り返そうとしたら、それこそ休みはなくなる。

 だから、この制度は年収の少ないサラリーマンを痛めつける制度なのだ。これからどのような改正案がまとまるのか注目しなければならないが、私は年収1500万円以上のホワイトカラーに適用すればいいのではないかと思っている。

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最終更新:2007年01月06日 02:42