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オカシイ世の中覚え書き

1月20日、再生会議 第1次報告案

安倍晋三首相肝いりの教育再生会議が十九日、第一次報告最終案を大筋で了承した。原案からいったんは除外された教育委員会の抜本改革や「ゆとり教育」見直しを打ち出した。内政で失点が続く首相は二十五日開会の通常国会を「教育国会」と位置付け、一次案の提言を法改正に結びつけることで政権浮揚を目指す。だが、その行方には、「立法化」という新たな壁が立ちはだかる。 (政治部・岩田仲弘、社会部・早川由紀美)

 小規模市町村教委の統廃合、都道府県教委から市町村教委への教員人事権の移譲、第三者機関による外部評価制度導入-。

 一次案には、昨年末の原案から抜け落ちた教育委員会制度の改革案が続々と復活した。一時は「骨抜き」の懸念も出ていたのに、同じ会議がまとめた案とは思えないほどだ。

 この復活劇には、首相サイドの意向が強く反映している。原案には「国民に対するメッセージ性が感じられない」(政府筋)と、昨年末から下村博文官房副長官がメンバーらにハッパをかけ続けてきた。

 安倍政権はこのところ逆風に見舞われている。政府税制調査会長や行政改革担当相が相次いで辞任。支持率も低落が続く。

 その空気を変えるには、首相が強い意欲を見せる教育改革しかない-。一次案は、首相にとって反転攻勢の設計図なのだ。

 このため、強引にねじ込んだものも目立つ。

 教委見直しは、再生会議のメンバーの中でも「教委設置を義務付ける必置規制を撤廃し、市町村の責任で学校長に権限を移譲すべきだ」という意見から、「国が指導、監督して機能強化を図るべきだ」という立場まで百家争鳴。地方自治、規制緩和などの問題も複合的に絡んでいる。

 教員人事権の市町村教委への移譲を例にとってみても、文部科学相の諮問機関である中央教育審議会は、人口三十万人以上の中核市などに当面は移譲することが適当とする答申を出しているが、都道府県教委サイドは「優秀な教員の囲い込みにつながる」と反発。小規模市町村の教委も「教育格差につながる」と懸念する。

 それでも教委改革へ果敢に踏み込んだのは、いじめや必修科目の未履修問題の発覚で、形骸(けいがい)化が際立つ弊害打破に、官邸主導で取り組む姿勢を示そうとしたからだ。

 国民にアピールするには、一次案の内容を法案化して国会審議に持ち込まなければならない。首相はこの日の会議に飛び入り参加し「国会では必要な法改正に臨んでいきたい。ゆとり教育、教委の在り方を抜本的に見直さないといけない」と訴えた。

 しかし、法案化作業を直接担当する伊吹文明文科相は「参院選もあり、国会会期も限られる。(関連法案)すべてを通常国会に、というのは無理だ」と困惑する。

 それぞれの思惑、利害が絡む問題だけに、通常の法案化よりも時間がかかることも予想される。官邸主導の急進的な改革には、文科省のバックにつく自民党の文教族も神経をとがらせている。中曽根弘文元文相は十八日、派閥の会合で「今のゆとり教育は、運用の仕方が間違っているのであり、基本的な人間力向上の改革方向は間違っていない」とけん制にでた。

 再生会議は取りまとめた一次案の公表を見送った。事務局長の山谷えり子首相補佐官はその理由を「通常国会というデリケートな部分もある」と説明し、文科省やうるさ型の族議員に神経を使っていることをうかがわせた。

 立法化の成否は、首相が与党や霞が関にどのくらいの指導力を発揮できるかを測る物差しでもある。首相サイドからは早くも「成立が難しいものこそ提出して、参院選の争点にしていく考え方もある」との声も聞こえてくる。

東京新聞

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最終更新:2007年01月21日 01:49