オカシイ世の中覚え書き

Ⅲ.教育再生に向けての今後の検討課題

教育再生会議としては、今後、以下に例示する項目について、引き続き幅広い視野から教育再生のための検討を進め、5月に第二次報告を取りまとめ、必要な項目について「骨太の方針2007」に反映させます。

1.教育内容の改革
初等中等教育の教育内容について、以下の諸点を検討します。
①学習指導要領の基本的な在り方、科学技術の進展や社会の変化に迅速に対応するための改訂の方法等についての基本的な考え方
②科学技術・理科離れを防ぎ、学習指導要領を含めた理数系の教育の在り方について、高度な専門家や学会、大学の協力を得て見直すこと、先端知を高校以下の教育内容にも関連付けること
③小学校における英語教育の在り方、学校における外国語教育の在り方、また対話・意思疎通能力、批判的・論理的思考力、対人関係能力、問題解決能力の養成の在り方
④高校における履修漏れの再発を防ぐことも踏まえ、高校における教育内容の見直し
⑤教育内容の改革に対応した教科書の在り方や、子供の多様な関心や学習意欲に対応し、発展的な学習や自学自習にも十分活用し得る充実した教科書の在り方
⑥学習時間と学習リズムの確保の観点から、学校の休日の見直しや、学校週5日制を見直すこと
⑦心身の障害、LD、ADHD等の発達障害、虐待や愛着障害など特別な支援を要する子供や、学習に大きな遅れがあるために個別の補充指導を要する子供に対する、きめ細かいニーズに応じた指導・支援の在り方
⑧個々の子供の認知と学習スタイルの多様性を踏まえた指導の在り方
⑨規律違反を行う子供や学級経営に携わる教員に対する、科学的根拠のある、いじめや暴力行為等の反社会的行為に対する予防的プログラムやマネジメント方法の導入
⑩出席停止になった子供を指導し立ち直らせるための教育施設・指導の在り方
⑪高校、専修学校、高専等における社会ニーズに即した教育体制の強化
⑫職業教育・産業教育の在り方 等
このほか、高等教育、幼児教育の教育内容についても、下記3.に関連して検討します。

2. 教員の質の向上
教員の養成課程、資格、採用、処遇、研修、分限などあらゆる面から教員の質の向上を図るために、以下の諸点を検討します。
① 大学の教員養成の充実と事後評価システムの導入(認定取消等の措置の導入)など、大学における教員養成の在り方
② 国家試験化を含めた教員免許制度の在り方
③ 教員としての使命感、人間力を十分見極めることを可能とするための採用システムの在り方
④ 子供たちへの教育に情熱を注ぐ優れた教員への処遇、顕彰の在り方
⑤ 採用後の教員が、増え続ける知や社会の変化に対応できるよう、教員の継続教育の在り方
⑥ 外国語教育の強化のため、外国人を教員として採用すること 等
また、上記1.及び2.に関連し、知の増大と急速な社会変化に対応した教育内容の改革と、それを教えられる教員の養成、確保のため、これらを新しい視点から実現するための、大学での総合的な仕組み(教育院(仮称))について検討します。

3.教育システムの改革
(1)教育界の責任体制の確立
基本的な方向性として、学校現場及び市町村教育委員会に対する分権化を最大限、進めるとともに、学校教育における国、地方公共団体、学校(校長)の責任を明確化する必要があります。具体的には、以下の諸点を検討します。
① 学校現場や地方の裁量を大幅に拡大するための分権の推進と、国の役割・責任の明確化及び国の責任を担保するための制度、市町村立学校に対する都道府県教育委員会の関与の在り方など、公教育への国や地方の責任・関与の在り方
② 学校における教育の成果を点検・保証するための修了試験等や、学校・教育委員会などに対する第三者機関等による外部評価・監査システムの在り方
③ 公立学校(校長)の人事、予算、教育内容についての権限の在り方
④ 教員人事に関する校長・市町村教育委員会の権限の拡大、教員の人事異動の在り方など、教員の人事制度の在り方
⑤ 複数市町村による教育委員会の共同設置、教育委員会と首長との関係、私学行政の在り方など、教育委員会の役割・権限の在り方
⑥ 教育委員の職務・勤務形態・人数や事務局体制など教育委員会の組織、教育委員・教育長の人選など、教育委員会の組織の在り方
⑦ 教育委員の役割、位置付けなど、行政委員会としての教育委員会の在り方
⑧ 教育委員会の事務権限などを首長に委譲する取組の推進をはじめ、教育委員会の存在の見直し等
(2)幼児教育から大学教育まで一貫した教育システムの在り方
① 社会のニーズや学習者のニーズ・適性と発達段階、各段階での教育課題を踏まえた柔軟な教育システムの在り方(幼・小・中・高・大の教育システムの見直し)
② 学習の成果を客観的に評価し、卒業の認定を厳格に行う仕組み
③ 個々の子供の多様な才能を最大限伸ばす教育システムの在り方
④ 在学年数の柔軟化(いわゆる「飛び級」や「留年」)の在り方
⑤ 情操教育を含めた、就学前の幼児教育の在り方
⑥ 発達段階等に応じた多様な奉仕活動、自然体験等を、教育上有効に活かす指導の在り方 等

(3)多様な教育の在り方
① 働き方、学び方の複線化に対応し、多様なチャレンジを何度でも可能とする教育システムの実現のため、複線的な学校制度、生涯学習、専門教育への支援などの在り方
② 障害児、不登校、被虐待児など、特別な支援を要する子供、外国籍の子供への義務教育を保証する仕組み
③ 得意なものを更に伸ばしたり、苦手なものを時間をかけて克服したりできる、学校外での多様な学習、文化、スポーツ等の活動機会の充実とこれらにかかわる人材育成、学校教育との連携の在り方
④ 各学校や地域が創意工夫を活かし、既存の制度にとらわれず特色ある先駆的な教育に取り組むことを国として奨励・支援し、その成果を全国の取組に活かしていくための仕組みづくり(「教育特区」)
⑤ 学校以外の教育施設において義務教育の履行を認める教育選択の在り方 等

(4)高等教育、特に大学院
① 高等教育の国際競争力強化のための「プロジェクトX」(注)
※日本の教育システムは幼児教育に始まり、6-3-3-4-X制であり、Xについては専門分野により教育の年限、目的、方策は多様である。ここではXの大学院の教育を中心とした高等教育の改革検討プロジェクトを「プロジェクトX」という。
② 大学の在り方、社会全体への影響、国際競争力など幅広い観点からの、「9月入学」の検討を含めた大学の入学制度の在り方、大学入試の在り方
③ 大学入試などの「入口」重視のみならず卒業認定などの「出口」重視への方向性
④ 再チャレンジのための中途退学者や社会人入学者に相応しいカリキュラムの確立 等

(5)教育環境の整備
① 世界最高水準の教育の実現のために必要な教員の数の確保、教員サポート体制の整備、教育施設の整備、奨学金の充実、授業料等の教育費負担の軽減など、教育を「未来のための重点投資」と位置づけた財政基盤の確保② 学校、家庭、地域の連携や地域特性に留意の上、学校選択の結果を踏まえ、児童・生徒数や、教育メニュー、経済的負担の軽減などに応じた予算配分(いわゆるバウチャー制度)など教育機関や教員が切磋琢磨する環境の整備
③ 厳しい状況にある困難な課題を抱えた学校に対し特別な支援を行うこと 等

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最終更新:2007年01月25日 01:35