2007 年1 月25 日
日本教職員組合
書記長 中村 譲
1 月24 日、政府の「教育再生会議」は、総会で第一次報告を安倍首相に提出した。
報告では、「ゆとり教育」の見直しなどをはじめ、「出席停止制度」の活用による厳罰化、「不適格教員は教壇に立たせないとする指導力不足認定や分限の厳格化」と教員免許更新制の導入、「教育水準保障機関(仮称)」による学校評価、教育委員会制度の見直しにも踏み込むなど、7 つの提言と4 つの緊急対応を示した。
報告は、公教育を「機能不全」と決めつけ、狭義の学力論、「規範意識」で子どもを、「教員の質の向上」と称して教職員を管理するものである。学校現場で日々、教育活動をすすめている子ども・教職員を信頼することなく、管理・評価・厳罰化で対応しようとする構図であり、前向きな教育改革であるとは到底言えない。
「教育再生会議」は、教育改革を政治課題と位置づけた安倍首相の諮問機関として設置され、昨年10月より論議を開始した。しかし、学校現場の子ども・保護者・教職員・教育研究者の声を聞くことなく、これまでの教育政策の検証もすることなくすすめられてきた。
現在、ほとんどの審議会が公開されているにもかかわらず、子どもの教育にかかわる重要な課題を非公開で審議をすすめてきたことは、国民的合意形成もはかる上からも重大な問題である。
緊急性が求められていることが強調されているが、素案の段階から首相をはじめ、官邸側が躍起になって「具体策」「実現性」を重視した報告に仕上げた。再生会議の論議も煮詰まったとは言えず、教育改革をアピールするための極めて政治的な判断であると言わざるを得ない。こうした拙速な結論をだすことは、現場に大混乱をもたらす。
報告内容は、これまで中教審で審議され答申したものと重なる。問題を起こす子どもの出席停止、高校での奉仕活動の必修化などは、2000 年の教育改革国民会議による提案の焼き直しである。一方で、教育委員会制度の見直しについては、急に盛り込まれたものである。戦後教育制度の根幹でもある教育委員会制度を十分な検証をすることなく、審議をつくさずに官邸側の都合で盛り込むことは重大な問題である。
「ゆとり教育」が学力を低下させた大きな原因であるという捉え方はあやまりである。「ゆとり教育」は、受験教育・偏差値主義の教育のあり方を見直し、完全学校週5 日制実施とともに、自然体験・社会体験を重視し、総合学習などのカリキュラム改革をすすめ、学校、家庭、地域社会の新しい関係を創造する「ひらかれた学校」、子ども一人ひとりの自ら考える力を育むことをめざした。また、地方分権の教育をめざす教育改革でもある。
そのことについての検証はほとんどなされていない。条件整備、支援など十分に講ずることなく、授業時間の増加などの安易な解決施策は、学校現場に混乱を持ち込むだけで、子どもたちのゆたかな学びを保障し、主体的な学びを喚起させることにはつながらない。
日教組は、憲法・子どもの権利条約の理念に則り、子どもたち一人ひとりの学びを保障する教育実践をさらに積み上げるとともに、「日教組カリキュラム編成検討委員会」でゆたかな学びを保障するためのカリキュラムのあり方を打ち出し、競争から共生の教育をめざし学校現場からの教育改革をすすめていく。
最終更新:2007年03月05日 01:51