【中・高等学校における英語教育との関係】
(現状と課題)
○ 現行学習指導要領においては、中学校の外国語教育は、「外国語を通じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、聞くことや話すことなどの実践的コミュニケーション能力の基礎を養う」ことを目標としている。また、高等学校の外国語教育では、「外国語を通じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現したりする実践的コミュニケーション能力を養う」ことを目標としている。
○ 教育課程実施状況調査の結果では、書くことについて良好でなく、特に内容的にまとまりのある一貫した文章を書く力が十分身についていないので、例えば、文レベルでなく文章レベルの訓練が必要である。
○ 外国語専門部会の議論の中では、話すことについて、英語が使えるというレベルでは十分でないので、基本的な英語の音声の特徴をとらえ、正しく聞き取り発音することができることなどの技能を定着させる必要があるとの意見があった。
○ 教育課程実施状況調査の質問紙調査の結果によれば、「英語が大切である」、「ふだんの生活や社会に出て役立つ」と考えている中学生は、他の教科に比べて多い。一方で、「好きだ」という割合は他の教科とさほど変わらないが、学年が上がるにつれて減少する傾向にある。
○ また、英語の授業が「分からないことが多い」、「ほとんど分からない」と回答する生徒の割合が中学校1年で2割、中学校3年で3割近くあるなど、他教科より高い傾向にあり、学年が上がるにつれて増加する傾向にある。さらに、他教科に比べ、成績上位層と下位層への分布が広範にわたっている。
○ 「英語が使える日本人の育成のための行動計画」において、国民全体に求められる英語力として、例えば、中学校卒業段階では「挨拶や応対、身近な暮らしに関わる話題などについて平易なコミュニケーションができる(卒業者の平均が英検3級程度。)」、高等学校卒業段階では、「日常的な話題について通常のコミュニケーションができる(卒業者の平均が英検準2級~2級程度。)」という目標が示されている。
○ なお、中学校においては、聞くこと、話すことに重点を置くこととされているが、同時に、読むこと、書くことも取り扱うこととされている。これまでは、中学校に入学した段階で、四技能を一度に取り扱う点に指導上の難しさがあったが、小学校の英語教育を充実することとなれば、これを解消ないし緩和することができるとの意見もある。
○ こうした課題を踏まえつつ、高等学校の教育までを見据えて、小学校、中学校、高等学校の外国語教育がそれぞれどのような役割を果たすべきか検討する必要がある。
○ 外国語専門部会としては、小学校の英語教育を充実するに当たっては、小・中・高等学校の教育目標について、次のような方向で検討することが適当であると考える。・小学校においては、小学校段階の子どもの柔軟な適応力を生かすことが有効である。基本的な単語や表現を用いて、英語で聞くこと、話すことなどの言語活動を実際に行ってみることにより、英語を通して積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図ったり、言語や文化への体験的な理解を図ったりすること、併せて英語の音声や会話に慣れることが適当と考えられる。その際、英語に対する関心・意欲を高めるため、子どもの発達段階にふさわしい言語の使用場面を設定することが必要である。
- 中学校においては、小学校段階での英語活動を通じて、英語を聞くこと、話すことについて一定の素地があることを踏まえて、読むこと、書くことを含めて四技能を調和のとれた形で充実させることが適当である。こうした活動を通して、実践的コミュニケーション能力の基礎を培ったり、言語や文化に対する基礎的な理解を深めたりすることが適当と考えられる。その際、特に、質問する、説明する、意見を言うなどの言語の働きに重点を置いた指導を重視することが考えられる。
- 高等学校においては、中学校での英語教育の成果を踏まえて、情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現したりする実践的コミュニケーション能力を養ったり、言語や文化に対する発展的な理解を進めたりすることが適当と考えられる。特に、今後は発信力が重視されることから、聞くことや読むことと、話すことや書くこととを結びつけた活動に重点を置いた指導を重視することが考えられる。
○ このように、高等学校までの英語教育の目標や内容を整理することによって、英語力向上の道筋を明確にし、小・中・高等学校教育の連携を密接なものとすることができると考える。小学校における英語教育は、会話表現、文法などの英語のスキルを身に付けさせることを直接のねらいとするものではない。小学校では、この段階にふさわしい英語でのコミュニケーション活動を行うことが、中・高等学校での英語教育の改善とあいまって、現行学習指導要領で目標としているところの実践的コミュニケーション能力の向上につながるものと考えられる。
最終更新:2007年03月22日 01:25