「来年5月までに全件調査する」・・・安倍首相は大見得を切ったが、「消えた年金」は5000万件どころじゃない。実は社保庁は1億件以上の年金記録を密かに隠しこんでいるのだ
都内に住む高田昭雄さん(仮名)は、こう怒る。
「70年のことですが、それまで年金保険料を納めていなかった分はまとめて支払えば大丈夫だと聴いて未納分約50万円を支払いました。ところが今年になってから確認すると「そんな記録はない」と言う。領収書を出してくれれば対応すると言われたけれど、そんな昔の話、領収書はもちろん預金通帳だって保存していません。安倍首相が調査するから大丈夫だといっているので改めて社会保険事務所に問い合わせたら、「まだ、よく分からない」と言う。とても安心なんか出来ませんよ」
”消えた年金”への国民の怒りは、一向に収まる気配がない。支持率の急落に、参議院選挙を7月に控えた安倍内閣は慌てふためき、”被害者救済策”を前面に打ち出した。
5000万件に上る「宙に浮いた年金記録」の調査を実施、調査が完了すれば、本来、受け取れるはずの年金額が支給されなかった人に、正当な年金を支給する。その際、時効の壁を取り払い、過去にさかのぼり支給されるべき年金額の給付を保障するーーーこれで、もう安心と言うイメージを喧伝しようとしている。
しかし、これによって被害者全てを救済することは不可能だし、制度上の問題を解決することなどととても出来ない。安倍内閣が調査対象としている「5000万件の注に浮いた記録」は、氷山の一角でしかないからだ。支給されるべき年金が支給されていない事例は、他にもうんざりするほどあるのである。
その信じがたい事例について、社会保険庁の幹部職員や心ある年金官僚たちから、私(ジャーナリスト岩瀬達哉氏)の元に多数の内部告発が寄せられている。
彼らは一様に、安倍内閣の調査が、単に5000万件の記録だけにとどまることを憂えている。そこで終われば、公的年金制度にたまりにたまった膿を掻き出すチャンスを失うことになるからだ。
最終更新:2007年06月13日 00:44