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オカシイ世の中覚え書き

一日も早く退陣させないと国が危ない(日刊ゲンダイ) 6月5日

追い詰められた安倍首相が連日のごとく、場当たりな目くらましの政治を始めた。

 その最たるものが「消えた年金」5000万件の救済策なるもの。1年以内にすべて記録と照合すると約束した。だが、冗談にも程度がある。

「やれるはずがありません。全件調査を実行するには1日あたり13万7000件を処理する必要がありますが、人海戦術には限界がある。社保庁職員だけでやれば10年以上かかるといわれています。だから先々週あたりまでは、安倍首相も“申し立てがあった人すべてにお支払いをしろというのか”と言い、柳沢厚労相も “膨大な作業なのでいつまでかかるか分からない”と拒否していたくらいなのです」(霞が関関係者)

 大ボラはこれだけではない。社保庁は、問題になっている年金の被害推計を25万人と算出。政府はこの25万人に対して60億円を負担して救済するという。だが、この推計に「消えた5000万件」は対象外だ。記録を調査確認するだけで1000億円の税金が必要だという。5000万件の損害に対してすべてを税金で救済するとしたら、とてつもない莫大な費用が生じるのだ。その予算はどこからもってくるつもりか。これだけみても「消えた年金」の救済策は成り立たないのである。にもかかわらず、腰を据えた議論はそっちのけで、実現不可能な一夜漬け法案を大ボラ首相はドタバタと慌てて衆院を通過させたのだから呆れてしまう。

「すべては参院選のためです。支持率急落に松岡農水相の自殺とダブルパンチでいよいよ尻に火が付いた。やれないことでも、やるという改革ポーズだけは見せて選挙を乗り切ろうという考えなのです」(政治評論家・有馬晴海氏)

 選挙のために血迷った安倍首相はさらに、東京の大気汚染訴訟に国から60億円を拠出することを発表した。

 だが、これは環境省も驚いた突然のプラン。東京都にだけ「公害健康被害予防基金」の取り崩しを認めた、ロコツな参院選対策なのだ。

「参院選の東京選挙区は、自民は現職の保坂三蔵と元女子アナの丸川珠代の2候補。丸川は安倍首相の“肝いり”です。ところが、丸川が不人気で浮動票が期待できない。このままでは組織が分裂して“共倒れ”の危険すらある。だから、慌てて票の上積みのために金をバラまく方針なのでしょう。大気汚染訴訟では拠出金をめぐって東京都と国の交渉がまったく進んでいませんでしたが、この時期に安倍首相の“一声”で急転直下、解決に向かうなんて選挙目当てがミエミエ過ぎて嫌になりますね」(有馬晴海氏=前出)

 選挙が迫ると票欲しさから、できもしない大ウソやバラマキをやるのは自民党内閣の専売特許だった。だが、ここまで手のひらを返したような朝令暮改、やっつけ仕事、場当たりゴマカシの首相はいなかった。役所とスリ合わせもせず、公約を実施できなかったらどうするのかを考える余裕もなく、血迷った言動を続けている安倍首相。これはもう狂気の政治というしかない。

 呆れるしかないのは、今になってドタバタする首相のマヌケぶりだ。

 3年前、年金未納問題で参院選に負けた自民党。そのときの幹事長は安倍晋三だった。普通の神経だったら、年金問題には超過敏になっていて当たり前。甘く見ていたから、こんなことになった。

「民主党の長妻昭議員が“消えた年金”問題を国会で追及し始めたのは3月です。そのときから柳沢厚労相はまともに答弁できず汗だくだった。この時に、早く先手を打たないと大変なことになると感づくはずなのに、安倍内閣は適当にあしらって放置してきた。先週、競馬のダービーを観戦して、“家内が単勝をとりました”なんて喜んで戻ったら、支持率が急落していることを知らされ、それで初めて“消えた年金”問題の重大性に気づいた次第です」(自民党関係者)

 まさに、オソマツな一席だ。

 政治評論家の山口朝雄氏がこう言う。

「安倍首相の慌てぶりを見ていると、笑うしかないですね。この間まで、“美しい国づくりだ”と偉そうに構えていたのに、あっちこっちで水漏れが始まるや、みっともないまでに焦ってドロを埋め込んでいる。国民生活の立て直しという最重要課題をおろそかにして、憲法改正だの教育改革だの、何の役にも立たないお題目にかまけているから、こんな羽目に陥るのです。やっぱり、この人は未熟すぎる。今回の場当たり的その日暮らしの政治手法が選挙目当てであることは国民にも見透かされている。さらに不安を国民に与えてしまった。本人は、参院選のために何でもやっているつもりでしょうが、それは逆で、参院選は大敗ムードが確実になってきた。人気のあった橋本龍太郎首相が一夜にして退陣に追い込まれた98年の参院選前夜とソックリになってきましたね」

 悪いことは言わない。参院選惨敗に追い込まれるのがイヤなら、自民党、公明党の国会議員は一日も早く世間知らずのお坊ちゃん首相を退陣させることだ。

「本当に、与党議員には早く目覚めてほしいですよ。安倍首相の最近の狼狽ぶりをみて、政権末期と感じている与党議員は少なくない。それなのに、あの郵政選挙のせいか、執行部に逆らうと公認がもらえなくなると、渋々従っている。情けない限りです。それで国会議員なのかと言いたいですよ。信念も哲学もない場当たり主義のトップに任せていたら国は危なくなるだけです。与党議員は、そこが分からないのでしょうか」(山口朝雄氏=前出)

 与党議員までマヌケのオンパレードなら、参院選でトコトン痛い目に遭わせてやる――無党派有権者は確実にそう思い始めている。


[日刊ゲンダイ:2007年06月05日 10時16分]

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最終更新:2007年07月14日 23:29