本誌が7月21日号(7月9日発売)で赤城徳彦前農水大臣(48歳)の「架空事務所費」問題をスクープしてから1ヶ月近く経った8月1日。赤城前大臣が要約辞任した。安倍新三首相(52歳)による、事実上の更迭だった。就任からわずか2ヶ月での辞任だが、遅すぎたというしかない。
私は再三に渡り赤城前大臣の辞任を求めてきたが、そのたびに赤城前大臣は居直り、大臣の椅子にしがみついてきた。前号では赤城前大臣が二つの政治団体で経費を二重計上していたことをスクープ。これが自民党の「政治とカネ」の致命傷になって、参院選で政権与党は歴史的惨敗を喫した。
赤城前大臣は、自身の疑惑について
「参院選での自民党敗北の一因になった」
「(疑惑に対する)対応のまずさについては反省をし、お詫びを申し上げたい」
などと口にした。が、そこには自らの不正行為に対する国民への謝罪の言葉は一言もない。それは安倍新三首相も同じだ。
「(赤木氏は)説明の仕方が悪く、それが国民の不信を招いた」
まるで他人事のような首相の言葉には、自身の任命責任についての謝意は感じられない。自らの身を守るためにトカゲの尻尾きりを行ったに過ぎないのだ。
そもそも赤木氏が大臣に就任で北のは、祖父・宗徳氏(個人)が岸信介内閣で、農林大臣や防衛庁長官を歴任した自民党の重鎮だったことが背景にある。岸信介首相は安倍首相の祖父l。つまり安倍首相は自殺した松岡利勝元農水大臣の後任に、祖父の代から付き合いのある”お友達”を大臣に指名したに過ぎない。結局、三世議員で脇を固めた”ママゴト”内閣に国政を担う能力などなかったわけだ。
赤城前大臣に至っては大臣どころか議員の資格があるのかさえ疑わしい。赤城前大臣は辞任会見で、
「(二重計上の)間違いは、(郵便料金に関する)2点だけだ」
と大見得を切り、さらには領収書をまとめたファイルを満足げな表情で振りかざして、これ以上の不正はないとパフォーマンスをして見せた。
単純なミスとは考えられない”ニセ領収書”
しかし、私の手元には前号で指摘したものとは別に、5通の”ニセ領収書”がある。
本誌が前号で報じた二重計上は、赤城前大臣の政治団体「赤城徳彦後援会」(茨城県筑西市。以下、後援会)と、水戸市の「自由民主党茨城県第1選挙区支部」(代表者・赤城徳彦。以下、自民党第1支部)の二つの政治団体で同一の領収書を計上していたというものだ。
今回、明らかにする新たな二重計上の舞台は、05年9月、小泉純一郎前首相が行った「郵政選挙」である。
私は茨城県に対する情報開示請求を行い、7月17日、赤城前大臣の05年の衆院選に関する「選挙運動費用収支報告書」と、これに添付された領収書のコピーを入手した。
そのなかに「推薦状など印刷」「チラシ折り込み料」「音響、照明費」などの名目で9月15日から16日にかけて発行された5枚の領収書のコピーが存在する。それぞれの金額は29万3212円、111万5257円、11万7900円、62万7442円、57万5820円で、総額272万9631円にも上る。
果たして、全く同一の領収書が自民党第1支部の05年分の収支報告書に「印刷費」「折り込み量」「音響・照明費」などとして添付されていたのだった。言うまでもないが、二つの領収書のコピーは発行された年月日や金額、筆跡も全く同じ。経費の二重計上は明白だ。
赤城前大臣はこの期に及んでも「(二重計上は)単純な事務処理上のミスだ」と強弁し、安倍首相も「事務所の処理能力に問題がある」と赤城前大臣の言い分を認めている。しかし、今回新たに判明した5件272万9631円もの二重計上は「事務処理上のミス」と呼べる代物ではない。これは「意図的な虚偽記載」という犯罪に手を染めたことを如実に物語る証左ではないか。
「政治資金オンブズマン」のメンバーで、神戸法科大学院教授の上脇博之氏はこう指摘する。
「公職選挙法違反や政治資金規正法違反を問うだけではなく、その金がどこに使われていたのかを追及すべきだし、赤木氏にはその説明責任がある。」
上げればきりがないが、”ニセ領収書”と思しき物はまだある。
03年の自民党第1支部の収支報告書には、「宣伝事業費(ポスター・ビラ作成費)」として11月19日、水戸市役所前郵便局に24万2190円の郵送代を支払ったと計上されている。
ところが、添付された領収書には、支払った人間の「住所」こそ印字されているものの、その「氏名」が記入されていないのだ。
郵政公社は
「こちらは事前に住所氏名を印字して伝票を送付し、さらにそれを郵便局の支払い窓口で家訓するので、伝票に氏名がないということは考えられない」
と説明する。つまり、この”氏名なし”の伝票は、料金を支払った後に氏名を何らかの方法で抹消し、収支報告書に添付するという悪質な領収書偽造をしたと考えられるのだ。
ちなみに、この伝票と同タイプのものは後援会の収支報告書に多数添付されている。つまり、後援会に送付されてきた伝票を自民党第1支部に「付け替え」て支払い、その証拠を消すために氏名を削除した疑いがあるのだ。
もはや、赤城前大臣が事務所の経理で違法行為を繰り返してきたことは明らかだろう。一刻も早く議員の職も辞し、刑事罰を受けるべきではないか。
最終更新:2007年08月09日 14:03