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オカシイ世の中覚え書き

社保庁・村瀬長官は安倍首相の「5000万件調査指令」を鼻で笑って握りつぶしていた

調査などやる気もなかった



 この組織に誠実さを求めるのは無理なのだろうか。
「社会保険庁の説明を効く限りでは、問題にまっすぐに対応していないという印象だ」
「年金業務・社会保険庁監視等委員会」(以下監視委)の初会合が開かれた7月25日、葛西敬之委員長(JR東海)は会合後に開かれた記者会見でこう吐き捨てた。
 民間出身の委員6名からなる監視委は、総務省が社保庁を管理・統括するために送り込んだいわば進駐軍で、葛西氏はその司令官に当たる。司令官を底まで怒らせたのは、あまりに不誠実な社保庁の対応振りだった。
 初会合では村瀬清司長官と二人の社保庁幹部に対するヒアリングが行われた。テーマは、もちろん「消えた5000万件」の記録問題だった。総務省の作成した議事要旨などを元に、7月25日、東京・霞が関の中央合同庁舎第5号館16階の委員会室で開かれた、そのやり取りを再現してみよう。

委員側「5000万件の実態を精査する話は2月の時点で出ていたはずです。5000万件の中身の精査はどれくらい進んでいるのですか」
社保庁幹部「まだ内容は十分に検証できていません」
委員側「安倍首相から精査するよう指示が出ているはずじゃないですか。実際に精査はやっているのか、いないのか、どっちなんです」

 そこで社保庁幹部は、しばし沈黙した後こう答えた。
「・・・・・・やっていません」

 さらにある委員が「じゃあ精査はどういう日程で当たる予定なんですか」と畳み掛けると「具体的日程はまだ申し上げられない」とはぐらかしたのである。ここで委員の一人が怒った。

「怠慢じゃないですか。5000万件の中身の精査をする覚悟は本当にあるのですか」
 この気迫に押されたのか、ここまで部下に対応を任せてきた村瀬長官がようやく「(調査を)やります」と、答えたのである。
 ヒアリングで明らかになったのは、「5000万件の実態を詳しく精査するように」という、5月に行われた首相の指示さえも無視し、サボタージュを決め込む社保庁のあきれた実態だった。
 何故社保庁はそこまでして照合作業に取り掛かろうとしないのだろうか。「消えた5000万件」問題の解決については、安倍首相が「1年以内に照合作業を完了する」と明言しているのだから、スケジュールの余裕など全くないはずだ。
 それでも作業に取り掛からない理由の一つとして、名前の読み違いなどを統合する「名寄せ」のための新しいプログラムがまだ完成していないことを、社保庁は上げる。プログラムの完成を待ち、今年12月から来年3月までの間に名寄せを実施するというのだ。
 しかし年金問題を追及する民主党の長妻昭議員によれば、そもそも安倍首相や社保庁が説明している方式では5000万件全件の統合はまず不可能だという。
「社保庁が名寄せのためにNTTデータと日立に発注したシステムは、従来のシステムの改良版なんです。カタカナ表記の濁点を取ったり、違う読みで入力された名前を調べたり、生年月日を1日ずらして検索する、ファジー検索が可能になるだけです。
 5000万件の記録には、生年月日や名前が抜けているような、入力したデータそのものが壊れているものが多い。コンピュータ上でデータの突合せをしようとしても成果は上がりません。もともとの紙台帳にまで遡って照合作業をしないと抜本的解決には至らないのです」
 つまり長官はじめ社保庁職員は、所詮5000万件もの名寄せなど実現不可能だと、高をくくって、首相の指示など鼻で笑っていたのだ。
「社保庁の職員が記録を精査してこなかったことを、私は全く不思議だとは思いません。社保庁はそういう組織なんです。幹部たちの当事者意識はゼロ、これほどの不祥事の原因を作っておきながら、いまだに一人として辞任する人間がいない組織なんですから」(長妻議員)
 振り返ってみれば、社保庁は「消えた5000万件」問題が明らかになった当初から、解決のための取り組みではなく、問題矮小化のための“情報操作”を展開して来た。
 「5000万件」の記録漏れは、民主党の強い求めに応じて社保庁が2月16日に提出した調査結果で明らかになったわけだが、翌日の日経新聞朝刊がいち早くこれを報じた。その同じ日の午前、フジテレビの情報番組に生出演した社保庁幹部がいる。運営部企画課長の今別府敏雄氏だ。

「消えたといわれる記録は、最終的には基礎年金番号の記録とつながる。銀行で口座が複数あるからと行って預金が消えているわけではないのと同じです」
「基礎年金番号をつけた97年以前に受給年齢に達せず死亡した人の記録もそのまま残っている。5000万件の大半はそれらを足し合わせたもの(だから心配はない)」

 今別府氏は番組中でこうした持論をとうとうと展開した。しかし、先の委員会でも明らかになったように、そもそも5000万件の中身の精査など行っていないのだ。なのに、何を根拠にその中身の分析をして見せたのか。
 もらえるべき年金を受け取れていない人が多数存在する可能性があるのに、それを調べもせず「安心だ」「心配ない」などと公言するのは国民を欺く行為だ


幻に終わった村瀬・柳沢更迭




 本誌は、国民の不安にまだ向き合おうとしない社保庁のトップ、村瀬長官を直撃した

            • 週刊現代です。お話を伺いたいのだが
「何で?冗談じゃない」
            • 政府は「消えた5000万件」を今年度中に付き合わせると言っているが、本当に可能なのか
「そりゃあ可能だから、政府はそう話をしているわけですよ」
            • しかし社保庁では5000万件の内容の精査を全くしていない
「誰がそんなこと言うの」
            • 5000万件の中には、亡くなった人や受給資格のない人の記録もあると社保庁の幹部は説明してきた。だが、精査していないのだから実態は分からないはずでは
「だから、どれくらいいるかということは分からないんだよ。全体では分かるけど、どれくらいの方が対象者のかは、どちらにせよきちっと調査しないと把握できないわけだから」

 その調査をしなかったが、村瀬長官自身なのだが、それに対する反省の弁は、一切彼の口から出てこなかった。
 ある政府関係者はこう打ち明ける。
「村瀬長官、そして年金官僚の言いなりになっている柳澤伯夫厚生労働大臣がいる限り、消えた年金問題は解決できない。実は安倍首相も、参議院選挙前にこの二人の更迭を考えていた。ところが久間章生前防衛大臣の辞任問題が起きて、タイミングを失ってしまったのです」
 今からでも遅くない。こんな不誠実な長官は即刻更迭すべきだ。

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最終更新:2007年08月19日 00:50