オカシイ世の中覚え書き

そもそも間違い? 役人主導の規制緩和

実はわたしも特区の制度を使って千代田区で株式会社の下で学校運営に携わっている。千代田区は「キャリア教育推進特区」といって、学校法人を設立することなく、株式会社であっても学校運営ができるようになっているのだ。そこでわたしの経営するビジネス・ブレークスルーは専門職大学院(MBA)を日本で初めて認めてもらった。

 特区制度の意図するところは、わたしのような試みがうまくいけば、全国どこでもやっていいというふうに波及することであった。当然わたしもそれを前提に考えていたし、よい学校が出そろうことによって厳しい競争にさらされることを覚悟していた。しかし、どうもそうはならない。少なくともわたしの既得権を守ってくれるかもしれない、という風向きなのだ。

 わたしが想像するに、おそらく特区に関係している誰かが、「先行利益を享受したい」と言って陳情したのだろう。それを役人が聞いて「おお、それはグッドアイデア」と思い、飛びついたに違いない。日本という国の情けなさがそこにはある。彼らにとっては特区とは、規制を受けなくて済むという「お目こぼし」でしかない。規制緩和を進めていこうという考えはハナから持っていないのだ。

 一方で、全国に波及させるために、特区を有効に活用しようと一生懸命努力している人もいるのである。アイデアはいいのに却下された例もある。例えば、毒を持っているフグを調理するには免許がいる。しかし養殖フグには毒がないので、「養殖フグだけを扱うから免許不要」というフグ特区を考えた地区(佐賀県)がある。ところがこれは却下された。

 どぶろく特区なるものも生まれたが、これは既存の酒蔵がどぶろく作ることを逆に禁じている。だれでもどぶろくを作れてこそ「どぶろく特区」だと思うが、大手企業が弱小資本を圧迫しないように、という配慮がみられる。これも余計なお世話だ。よりよいどぶろくが生まれるために参入を自由化する、というのなら分かるが、初めから保護政策を盛り込んでいるのである。これでは強い会社は生まれない。

 役人主導の規制緩和など、期待するのが間違っているのかもしれない。彼らは前に進む覚悟を持っていないのだから。

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最終更新:2006年12月20日 18:39