疫学
・発症率は不明.
・急性脳症の亜型の中では最も頻度が高い.
・原因となるウイルスとしてはインフルエンザウイルス, HHV-6, 7が多いことが知られている.
臨床症候
特徴
・発熱後24時間以内の熱性けいれん(多くは熱性痙攣重積).
・初回けいれん後, 意識状態は改善するものの, 筋緊張低下などを認めることがある.
・4-6病日に痙攣重積を起こして, 意識状態は悪化する.
臨床検査
髄液検査
・髄液IL-6は上昇している.
・髄液IL-10や可溶性TNF受容体1は上昇していない.
・急性壊死性脳症(ANF)や出血性ショック脳症症候群(HSES)では上昇している.
画像検査
頭部MRI
・初回痙攣後では明らかな異常は認めない.
・3-9病日での頭部MRIのDWIでは皮質下白質の高信号を認める.
・MRSでは3-9病日頃にN-acethyl aspartate (NAA)の低下やglutamate (Glu)/glutamine(Gln)
complex (Glx)の上昇を認める.
・その後の経過で, 皮質下白質の異常信号は消失する.
治療
総論
・様々な治療が行われているが, 治療効果についてのエビデンスは存在しない.
・一般的にはインフルエンザ脳症のガイドラインに準じた治療が行われている.
副腎皮質ステロイド
・メチルプレドニゾロンパルス療法を含めたステロイド治療は予後改善には効果がないことが報告されている.
低体温療法
・難治性熱性痙攣重積の患者でのAESDの発症予防に極めて重要な影響を与えているかもしれないことが報告されている.
・AESDへ進展している患者における低体温療法の効果についてのエビデンスは存在しない.
免疫抑制剤
・Watanabeらは前頭葉優位型を除いたAESDの患者において, シクロスポリン投与で神経学的予後が改善する可能性があることを報告した.
予後
・死亡率は低い (<5%).
・高率に神経学的後遺症を残す.