疫学
・小児期発症SLEの発症時の平均年齢: 11.5歳(J
Pediatr 2005; 146: 648-53)
・オマーン国での報告では8.6歳と若かった(Lupus 2008; 17: 683-6)
・男女比: 男児:女児=1:5
臨床症候
総論
・小児期発症SLEの初発時でよくみられる症状: (J Pediatr 2005; 146: 648-53)
・血液学的異常(72%)
・皮膚症状(70%)
・筋骨格症状(64%)
・腎症候(50%)
・発熱(58%)
腎障害
・小児SLE患者の約70-80%で発生する.
・成人期発症SLE患者と比較して小児期発症SLE患者の方が腎疾患の発生率が高い.
神経精神症状
・小児SLE患者の14-95%が神経精神症状を呈する.
・小児SLE患者の20%は神経精神症状が初発症状である.
・神経精神症状のない児と比較してある児では, 高い死亡率や治療反応性不良と関連している.
・Yuらの報告では, SLE診断後に神経精神症状が出現するまでの平均期間は11.37か月であった.
・主な神経精神症状:
・けいれん発作
・片頭痛
・気分障害
・認知障害
・頭痛:
・SLEの児の最大10%で重症な頭痛を呈する.
・認知障害
・認知症に至ることは少ない.
・危険因子:
・Zuniga Zambrano YCらの報告ではループスアンチコアグラント陽性が神経精神症状の危険因子であった(OR 3.7).
・免疫抑制剤を投与されているSLE患者は投与されていない患者に比べて神経精神症状の出現が遅れる.
皮膚症状
・主な皮膚症状:
・蝶形紅斑
・円盤状エリテマトーデス(DLE)
・血管炎性皮膚症状 (eg, 紫斑, 潰瘍, 血管炎性蕁麻疹, 皮下脂肪織炎)
・DLE
・中央部の萎縮, 瘢痕化, および永続的な附属器の消失を特徴とする.
・SLE患者の約20%でDLEが生じる.
・DLE患者の約5%でSLEを発症する.
臨床検査
C反応性蛋白(CRP)
・活動性疾患の場合, 上昇することがある.
・疾患活動性とは相関しないことがある.
抗核抗体(ANA)
・診断時に90%以上の症例で陽性.
抗二本鎖DNA(ds-DNA)
・診断時に82-93%の症例で陽性.
抗Sm抗体
・SLEにおける特異性が高い.
・陽性率: 10-30%
補体値
・診断時に78-87%の症例で補体低値を認める.