疫学
・発症年齢: 幼児期に好発する
・けいれん性疾患の家族歴や熱性けいれんの既往を高率に認める.
・平野らはけいれん性疾患の家族歴・既往歴をそれぞれ40%に認めたことを報告した.
臨床症候
・発作は睡眠時に約2/3が起こる.
発作
・発作は自律神経症状で始まり, 眼球偏位や意識障害も伴うようになり, 時に四肢のけいれんも出現する.
・自律神経症状として嘔気・嘔吐は発作の多くで伴う.
・その他の自律神経症状:
・蒼白
・散瞳(ときに縮瞳)
・心肺や体温調節の変化
・尿や便の失禁
・唾液増加
・腸管運動の変化
・少なくとも1/5の発作でけいれん前, もしくはけいれんを伴わずに無反応や失神(ictal syncope)などをきたすことがある.
・ときに発作性失神が唯一の臨床イベントのことがある.
・ictal syncope:
・PS特有の症状
・長時間にわたる意識減損と四肢の脱力が続く特異的な脱力発作症状.
・発作は通常10分以上で44%は30分以上持続する.
・数時間経過すれば後遺症なく回復する点も特徴的.
・短時間の無呼吸や心静止はよくみられるが, 稀に心肺停止をきたすことがある.
検査
・発作間欠期の多焦点性てんかん性異常がみられる.
・多焦点の分布として最も多いパターンは, 前頭極部-頭頂・後頭部に同期または独立してみられるてんかん波.
・てんかん波の出現部位は同一患者でも変化する.
鑑別疾患
治療
・繰り返し発作を起こす場合に抗てんかん薬の内服治療を開始するのが原則だが, 保護者に相談の上で治療方針を決定する.
・内服薬ではカルバマゼピン(CBZ)が用いられることが多い.
・CBZ開始後に脳波所見や症状が増悪する症例がある.
・バルプロ酸ナトリウム(VPA)もCBZと同等の効果があるとされている.
・ジアゼパム坐薬は発作の頓挫には有効.
予後
・1/4から約半数が1回のみの発作.
・約1/4は6回以上の頻繁な発作を起こす.
・しばしば発症後1-2年以内に寛解する.
・児知る神経発作重積では神経学的後遺症は残らない.
・10%の症例でBECTSを合併, もしくはBECTSに移行する.