疫学
・発症年齢: 3-6歳に大きなピークがあり, 成人期に小さなピークがある.
・男女比: 1:2 〜 2:3
・家族性もやもや病の報告も散見されている.
臨床症候
・小児期発症のもやもや病では虚血発作 (一過性脳虚血, 脳梗塞) で発症することが多い.
・低年齢発症児ほど脳梗塞をきたしやすい.
・低年齢ほど必要とされる脳血流量が多いため.
・年齢が上昇するにつれて一過性脳虚血発作での発症が増加する.
・くも膜下出血で発症するのは, 一般的には16歳以降.
神経画像検査
異常血管
・病変部を反映してして, 内頸動脈遠位部や前・中大脳動脈起始部の閉塞・狭窄がみられる.
・頭部MRIのT2強調像にて上記血管のflow voidが狭小化・消失する.
・基底核部ではもやもや血管のflow voidが観察される事が多い.
・もやもや病の進行例では, 白質にT2強調像, FLAIR像で高信号の線条病変(medullary streaks)が認められる.
・脳循環の改善とともに病変は消失する.
・脳軟膜は造影MRIにてびまん性の増強効果, FLAIR像にて高信号として認められivy signと呼ばれる.
脳虚血病変
・小児では多発性の皮質, 皮質下梗塞が多いが, しばしば境界域梗塞も認められる.
・虚血に陥った白質にはT2強調像で低信号が時に認められる.
・軸索遊走の障害による鉄沈着が原因として想定されている.
合併症
・主な合併症:
・21トリソミー
・神経線維腫症1型(NF1)
・心室中隔欠損(VSD)
・僧帽弁狭窄
・Fallot四徴(TOF)
・鎌状赤血球症
管理
・適応のある症例では血行再建術が行われる.