咽頭炎・扁桃炎
・小児咽頭炎症例の原因の20-30%を占める.
臨床症候
咽頭炎・扁桃炎
・特徴的な症候としては以下のものが挙げられる:
・発熱
・咽頭痛
・咳嗽や鼻汁を認めない
臨床検査
迅速検査
・感度/特異度: 53-99%/62-100%
・IDSAガイドラインでの記載:
・咽頭炎の所見がGASが原因かウイルスが原因かの区別ができない場合に施行する.
・ウイルス感染症を示唆する所見(鼻汁, 咳嗽, 口腔内潰瘍, 嗄声)がある場合には行わない.
・迅速検査陰性出会った場合には咽頭培養によるフォローが必要
・GAS感染症およびリウマチ熱発症が稀であるため, 3歳未満の児には迅速検査を行う必要がない(家族内感染などが明らかな接触歴がある場合は考慮する)
咽頭培養
・感度: 90-95%
診断
・咽頭培養がゴールデンスタンダード.
centor criteria
・以下の項目を満たした場合に1点として, 合計点で判断する:
・38℃以上の発熱
・咳嗽がない
・滲出性の扁桃腫大
・圧痛のある前頸部のリンパ節腫脹
・修正centor criteriaでは患者の年齢を基準に加えており, 以下の点数を加える:
・15歳未満: +1
・44歳以降: -1
・点数に応じて以下のように管理を行うとしている:
・-1, 0, 1点: 抗菌薬や咽頭培養は必要ない (溶連菌感染症のリスク<10%)
・2, 3点: 咽頭培養が陽性の場合, 咽頭培養や抗菌薬投与を受けるべきである (溶連菌感染症のリスクは2点で15%, 3点で32%)
・4, 5点: 経験的に抗菌薬で治療する (溶連菌感染症のリスク 56%)
・小児患者での有用性を検討したstudyとしては, 2-16歳を対象としたstudyがあり、小児では有用でないと結論づけられている(BMJ open
2013)
キャリア
・健康な児において, 無症候にも関わらず10-20%の児で咽頭培養でGABHSが陽性となる.
・キャリアでは接触感染のリスクは低く, 化膿性や非化膿性の合併症発症のリスクも低い.
・キャリアの児は治療する必要がない.
合併症
・化膿性の合併症:
・扁桃周囲膿瘍
・咽後膿瘍
・頸部リンパ節炎
・中耳炎
・副鼻腔炎
・溶連菌感染後急性糸球体腎炎(AGN)
・咽頭炎ではGASのM12型、膿皮症ではGASのM49型が腎炎を惹起しやすいとされている.
・猩紅熱
・トキシックショック症候群
治療
・抗菌薬治療により以下の効果がある:
・リウマチ熱や化膿性の合併症の予防
・罹病期間の短縮
・他者への接触感染の減少
・一般的な抗菌薬治療:
・アモキシシリン 30-50mg/kg/day 1日2-3回 10日間内服
・ペニシリンアレルギー患者ではクリンダマイシンやマクロライド系抗菌薬が選択される.
管理
・GAS感染症後のAGNの早期発見目的に尿検査が行われることがあるが推奨はされていない.
・行う場合には咽頭炎発症から10日後ぐらいが推奨されている.