体位性起立性頻拍症候群(POTS) -まとめ

 

疫学
・男女比: 女性の発症率は男性の約4倍

 

病態生理
心臓の変化
・POTS患者では健常人と比較して以下のような心臓の所見があることが指摘されている:
 ・左室容量の減少
 ・左室拡張末期容積の減少
 ・立位での1回拍出量の減少

体液の状態
・POTS患者では健常人と比較して以下のような状態であるとされている:
 ・血漿量が少ない
 ・全血液量が少ない
 

 

臨床症状
心臓症状
・動悸
・めまい(浮遊感)
・呼吸苦
・胸部不快感

非心臓症状
・頭痛
・振戦
・嘔気
・睡眠障害
・精神状態の変化
・運動不耐
・慢性疲労

 

診断

病歴
・急性のストレス因子が先行していることがある.
 ・先行感染:
  ・Kimpinskiらの報告では, POTS患者の34%(20/58)でPOTS発症に先行するウイルス感染症を認めた.
  ・Thiebenらの報告では, POTS患者の28%でPOTS発症に先行するウイルス感染症を認めた.
 ・その他のストレス因子
  ・大きな手術
  ・外傷
  ・妊娠

診断基準
・以下の基準を満たす場合に診断できる.


・症状が慢性的(>6か月)である.
・仰臥位から立位となって10分以内に以下の基準を満たす.
 ・心拍数の40bpm(成人では30bpm)以上の上昇
 ・血圧低下がない(収縮期血圧が20mmHg以上, 拡張期血圧が10mmHg以上上昇しない)
・以下のようなPOTS様症状をきたす原因を除外する.
 ・甲状腺機能低下症
 ・膠原病/血管性疾患
 ・貧血
 ・糖尿病
 ・全身性感染症
 ・炎症性疾患
 ・摂食障害
 ・傍腫瘍症候群


 

臨床検査

血清ビタミンB12
・Onerらの報告では, 思春期POTS患者は対照群と比較して血清ビタミンB12値が低かった.

 

 

治療
水分補給
・潜在的な血液量不足があるため, 十分な水分補給(通常2-3L/日程度)を行う.
塩分補充
・塩分摂取量を増加させる.
運動療法
・段階的に強度や時間を増やしてく運動療法が効果的であることが示されている.
薬物療法
・β-blockerなどが用いられている.

最終更新:2014年02月03日 18:38