遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT) - まとめ

総論
・遺伝性出血性末梢血管拡張症(Hereditary Hemorrhagic Telangiectasia; HHT)は粘膜皮膚の毛細血管拡張と多臓器にわたる動静脈奇形(AVM)を特徴とする常染色体優性遺伝疾患.
・Osler-Weber-Rendu病とも呼ばれる.

 

病因
・以下の原因遺伝子が特定されている:
 ・ENG (HHT1の原因)
 ・ACVRL1 (HHT2の原因)
 ・SMAD4 (若年性ポリポーシス-HHTオーバーラップ症候群)
・上記以外にも少なくとも2種類の特定されていない原因遺伝子があるとされている.

 

 

臨床症候
・主として肺, 脳, 肝循環にAVMを形成する.
・巨大AVMのみが症状や合併症と関与しているという可能性が指摘されている.

肺AVM
・頻度:
 ・Giordanoらの報告では45.4%(20/44)で認めていた.
 ・Al-Selehらの報告では30.5%で認めていた.

脳AVM
・頻度:
 ・Giordanoらの報告では患者の16.2%(7/44)で認めていた.
 ・Al-Salehらの報告では患者の11%で認めていた.
・HHT患者で脳AVMを有する患者のうち32-50%で複数の脳AVMを有する.
ENG遺伝子変異のある患者で頻度が高い.
・脊髄AVMと複数脳AVMのとの関連性が指摘されている.

巨大AVM
・Giordanoらの報告では患者の27.3%(12/44)で巨大AVMが認められていた.
・HHT1患者で巨大AVMを有する頻度が高い.

 

診断
臨床的診断基準(Curaçao基準)
・以下の4項目のうち3項目を満たした場合, HHTと臨床的に診断される:
 ・自然で繰り返される鼻出血
 ・粘膜皮膚の毛細血管拡張
 ・第1親等における確定したHHT患者の存在
 ・内臓AVMの存在

最終更新:2014年01月28日 09:50