ロタウイルス - まとめ

 

病因
・ロタウイルスはレオウイルス科に属する11本の分節からなる二本鎖RNAウイルス.
・ロタウイルスはA群からG群に分類され, ヒトにおけるロタウイルス感染症としてはA群が最も多い原因.

 

疫学
・潜伏期: 1-3日
 

 

臨床症状
総論
・以下のような症状を呈することがある.
 ・発熱
 ・嘔吐
 ・水様性下痢
・典型的には急な発熱と嘔吐で発症し, その後24-48時間で水様性下痢を呈する.
・症状持続期間は一般的には3-8日.
・中等症から重症例では消化器症状が持続により, 主として下記の状態が引き起こされる.
 ・脱水
 ・電解質異常
 ・低血糖
 ・アシドーシス

呼吸器症状
・30-50%の患者で呼吸器症状・徴候を認めることがある.
・ロタウイルスによる症状かどうかは明らかにはされていないが, 根本となるアシドーシスを反映しているかもしれないと考えられている.
・ロタウイルス胃腸炎と呼吸器ウイルス感染症が同時に起こる可能性もある.

 

臨床検査
白血球数
・合併症のない症例では通常, 白血球数は正常.

血清トランスアミナーゼ値
・軽度トランスアミナーゼ値が上昇することがある.
 ・67%の患者でみられたという報告がある.
 ・Liらの報告ではAST高値, ALT高値はそれぞれ75.6%, 36.6%の患者で上昇していたほか, Kawashimaらの報告ではそれぞれ88.5%, 11.5%の患者で上昇していた.
・ASTの上昇は肝傷害よりむしろ小腸粘膜やその他の組織の傷害を反映しているかもしれないと考えられている.

血清尿酸値
・以下の病態により高尿酸血症が引き起こされる.
 ・小腸粘膜の障害により細胞からの核酸の遊出
 ・脱水による血液濃縮

血清尿素窒素(BUN)
・脱水を反映していて上昇することがある.

血清カルシウム値
・低カルシウム血症を発症した例が報告されている.

 

合併症
・主として以下のような合併症が報告されている.
 ・脳炎/脳症
 ・無熱性けいれん (軽症胃腸炎関連けいれん)
 ・熱性痙攣
 ・ウイルス性発疹症
 ・腸重積
 ・尿路結石

尿路結石
・大半は尿酸アンモニウム結石.
・両側尿路結石嵌頓による腎後性腎不全が報告されてきている.

 

治療
水分補充
・脱水を補正・予防するために, 経口もしくは経静脈的に水分補充を行う.

 

最終更新:2015年04月15日 10:13