病因
・病因は不明であるが, 自己免疫反応とアレルギー反応が関与しているかもしれない.
・少なくとも50%の症例で上気道炎が先行している.
・以下のものが可能性のトリガーとして示されている:
・薬物
・食事
・寒冷曝露
・昆虫刺傷
臨床症候
腎臓
・腎障害はHSP症例の20-60%で発生する.
・腎障害の主な症候/徴候・疾患:
・血尿
・蛋白尿
・ネフローゼ症候群/腎炎
・腎機能障害
・高血圧
・腎障害は75-80%が4週間以内, 97-100%が3か月以内に発症する.
・HSP発症後数年で腎障害を発症する症例がある.
・重篤な腎疾患の発症率は5-7%.
・高血圧は腎傷害の所見なく発症することがある.
神経
・神経学的症状をきたすことは稀.
・微小な脳症が以前考えられていたよりも多くみられるかもしれないことが指摘されている.
・主な臨床症候/徴候:
・頭痛
・てんかん発作
・不安定な感情
・無関心
・過活動
・ある前方視的研究では, 31%で頭痛があり,
46%で異常なEEG所見を呈していた.
・主として以下のような疾患の合併が報告されている:
・硬膜下血腫
・くも膜下出血
・小脳出血
・脳実質出血
・脳梗塞
検査
血清好酸球カチオン蛋白質(eosinophil cationic protein; ECP)
・健康な人と比較してHSP患児では血清ECPが有意に高い.
治療
非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID)
・関節痛の軽減に効果があるが, 強い関節痛に対する鎮痛で用いるには不十分である.
・腎障害がある例では使用は避けるべきとされている.
・副腎皮質ステロイドを投与する症例では, 消化管出血の観点からNSAIDsは併用しないよう推奨されている.
副腎皮質ステロイド
・RCTで腹痛や関節痛の軽減に効果があることが示されている(J pediatr 2006).
・投与量:
・RCTでは経口プレドニゾロン1mg/kg (最大投与量50mg) 連日 2週間投与と, その後2週間かけて漸減中止.
・蛋白漏出性胃腸症や大量の消化管出血ではより大量のステロイドが投与されることがある.
・ステロイドを投与しても腎臓の予後は変わらないことが多くの研究で示されている.
モンテルカスト
・通常治療にモンテルカスト追加の治療を行うとHSP症状が軽減したという報告がある(Pediatr Int 2014)
・腎炎の発症率は低下しなかった.
治療
・HSPは通常自然治癒する疾患である.
再発
・HSP患者の約33%で症状の再発がみられる.
・腎疾患をきたした児の方が再発する可能性が高い.
腎臓に関する転帰
・HSPは主として腎像の予後が長期的には重要となる.
・HSP診断後8年で患者の1.4%で慢性腎疾患を発症していたという報告がある.
・発症時での腎臓の予後不良因子:
・ネフローゼ症候群
・腎機能障害
・高血圧
・第XIII因子活性低下