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放課後職務。

作:中年ボス


静寂を神聖とする図書館の中、人一倍敏感な人間が、あろうことか音を立てていた。
其れも職務であるから当たり前、なのだが。

図書館の主であるコンコンが今、小さな脚立を床に時折擦り付けつつ運んでいた。
配列を把握しているとはいえ、本棚最上段はコンコンには厳しい位置。
種類によっては今のように脚立に乗らなくてはならない。

「…相変わらず、高い…」

生徒下校時間を過ぎた折、一人作業をする事は本好きなコンコンにとって苦痛ではなかった。が。
唯一溜息を漏らしてしまう、本棚への返還作業をはじめ様とした。

「君には少々高いようですねぇ」

表現とすれば、ぴきーん、だろうか。コンコンの背筋硬直、身長伸びたのではないだろうか。

「は、ひゃい!?」

突然背後から声を投げかけられれば驚愕に声もあげるだろう。動揺が出るか出ないか。この場合前者。
当たり前だ。想い人の声が突然、自分に響いたのだから。
まして他に誰も居ない…今、二人だけの図書室。静けさの中響き渡り動揺促す。

「ああ、驚かせましたか。すみません…借りようと思ったのですが、入口にいらっしゃらなかったので。」

申し訳なさそうに苦笑する生茶。此処までの反応を予期していなかったのだろう。
其処に付け足すまでもなく、数冊の本を抱えるコンコンの手に手を重ねて。

「これ位なら私がやりましょう。」

奪い取るとは違う、受け取る形で取り上げた生茶は順番に棚へと返していく…も。
シリーズでもなく、カテゴリーも違う一冊が残り、確認の為コンコンを覗き込む生茶。

「ええと、これは何処へ…ん?」

其処に居たのは普段の落ち着いた姿ではなく、身体の隅々まで赤く染まっているのではないかと
安易に想像出来る程茹で上がってしまったコンコン。俯き震えるのは何故か生茶には解らない。
女心は男には伝わらないモノ。されど想い人に突然密着されて緊張しない者等居ないだろう。

「…大丈夫ですか?どうかなさいましたか?」

心配そうに顔を近づける生茶。当人は唯心配で。自分が何かしてしまったのかと思っている、が。
触れそうな程覗き込んでしまう事は、逆効果。

「だだだ大丈bくぁwせdrftgyふじこlp」

涙目になりながら図書館書庫室へと逃げ込んでいくコンコン、
取り残されおろおろしてしまう生茶、其の二人の流れは図書室の本達だけが覚えている。

コンコンが逃げ出してしまった事に後悔し始めるのは、また別の御話。
最終更新:2007年12月02日 00:30
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