1920年代の広告に見る栗林のカメラ

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1920年代の広告に見る栗林のカメラ - (2014/04/16 (水) 10:34:17) の編集履歴(バックアップ)


スピードレフレックス


栗林のカメラ第一号として、スピードレフレックスが発売されたのは1926年(大正15年)と考えられる。
この年に発行された雑誌、カメラ(ARS)にスピードレフレックスの新発売を示す広告が掲載されている。

カメラ(ARS) 1926年3月号広告
カメラ(ARS) 1926年4月号広告
カメラ(ARS) 1926年5月号広告

(以上の広告は国立国会図書館所蔵資料から許可を得て転載した:国図利1401065-7-28号)

三月の広告では「ESヂュニオルレフレックス」という名称のカメラが三月中旬にできると予告されている。
四月の広告ではこのカメラが新発売され、五月の広告でカメラの名称が「スピードレフレックス」に変更されている。

ペトリの歴史ではスピードレフレックスは1919年作製と記されることが多いが、これはカメラの発売までに
かなりの時間を要したことを示すか、あるいは記録の間違いであるとも考えられる。

スピードレフレックスを発売したのは神田の三栄堂本店であった。店主の二川栄介は1928年に「写真機全集」を出版している。
この本の中に栗林製のカメラの広告がいくつか掲載されているので、当時の雑誌広告とあわせて紹介する。

ファーストカメラ


(二川栄介著 写真機全集 1928年広告)

広告の下部に「第一写真工業社」と記載がある。栗林製作所との関係は現在のところわかっていないが、
翌年のアサヒカメラに掲載された同名のカメラの広告にはFirst Camera Works の記載がある。

(アサヒカメラ1929年5月号広告:写真提供ジャンク大帝様)

ミクニカメラ


(二川栄介著 写真機全集 1928年広告)

広告の下部に "Tokyo Minagawa"と記載がある。翌年のアサヒカメラに掲載されたこのカメラの広告には
「ミクニカメラ製造元 皆川カメラ店」の記載がある。皆川カメラ店(皆川商店)は後に栗林製作所の
カメラを「ファーストカメラワークス」のブランド名で販売している。

(アサヒカメラ1929年5月号広告:写真提供ジャンク大帝様)

この広告には東京博覧会の受賞とメダルの写真が載せられている。これは1928年に開かれた大礼記念国産振興東京博覧会で
写真機(写真暗箱)では三栄堂(栗林)と小西六が優良国産賞を受領していることが当時の文献からわかる。
参考:http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1224945/419
(国産振興東京博覧会審査報告 : 東京商工会議所主催 大礼記念 1929年)

ルビースハンドカメラの謎


(二川栄介著 写真機全集 1928年広告)

ところが、芙蓉堂のホトデルックス、ルビースハンドカメラの広告にも東京博覧会受賞の記載がある。

これらのカメラも栗林製のカメラである可能性があるが、現在のところ情報不十分である。
Baird著の Collector's Guide to Kuribayashi/Petri Cameras の栗林製カメラのリストにはこれらのカメラは含まれていない。
1958年10月のPHOTO35という雑誌には栗林庸夫氏(当時常務)の話として、栗林が芙蓉堂にカメラを提供していたと記載されている。

(文責:2chペトリスレ264 情報募集中!)