東雲文章


 東雲文章(シノノメテキスト)とは、今から数十年以上前、当時某国の政治家であったダン・シノノメとメイ・シノノメ夫妻が作成したといわれている機密文章である。
 内容は二部構成となっており、一方は政策、経済に関する内容。もう一方は軍備に関する内容であり、二つセットで所謂”国家運用マニュアル”としての機能を持つ。
 しかし実際にこの文章が表に出ることはなく、存在は秘匿のままであったが、とある事件をきっかけとしてその一部が流出。その流出した文章を用いて立ち上げた某企業は、数多の有名企業を傘下に置く世界的大企業にまで成長した。
 現在この文章の行方は知られていない。

実態:製作経緯


 東雲文章の根幹には、製作の数年前に行われたとある世界的な会合が切欠として存在している。
 会合の内容は、国家間の物資流通に関する法律改定についてのものであり、これに前後してほぼ全ての(少なくとも民主主義国家に代表される、選挙制度を持つ国家)国において大規模な選挙が行われていた。その選挙の最重要点は、この国家間物資流通法に関連する、自国内の物資に関する法律であった。
 この選挙の際に、シノノメ夫妻は何らかの手段を用いて(密偵を用いての情報収集、あるいは金銭を積んでの議員買収などか)各々の国で成立する自国物資関連法案を徹底的に調べ上げ、一部では己の意図する法案を通させた。また、物資の流れは金銭の流れに関連付けることが可能であることと同様、金銭流通においても同様にして新規に制定されるシステム、法律、規則、制約などを調べ上げた。
 こうして得られた情報を基にして、今後数十年、あるいは数百年にわたるやもしれない物資および金銭流通の根幹を掌握したシノノメ夫妻は経済・外交に関する東雲文章を作成。また、そこから派生する形で軍備に関する東雲文章を作成した。
 金銭の流通、今後の動きを"予知"するがごとく設計された東雲文章の力は、名もない企業を多数の企業を傘下に置く大企業にまで成長させた。しかしこの発展劇は、あらかじめ敷かれていたレールに誘導した結果生じた程度の事象でしかない。そういう意味では東雲文章自体は大した影響力を持つわけではなく、あくまで未来を描いていただけ、ともとることが出来る(莫大な影響力を持つことに大差はないが)

東雲文章の内容


 今後制定、改定されるであろう法律全てを網羅したといっても過言ではない東雲文章の内容は、確実な利益を生む投資術や外交術の基盤となる。
 また、それらによって形成される国家間のパワーバランスが事前に把握できていれば適切な軍事運用が可能になるともいえる。
 東雲文章の優れている点は、膨大な情報を非常に巧く処理し、構築していることにある。

裏東雲文章


 東雲文章には、秘密裏に存在する裏東雲文章と呼ばれるものが存在する。
 内容としては、あまりにも非人道的すぎる内容から記載できなかったものが含まれている。
 これは裏東雲文章という内容の文章があるのではなく、東雲文章自体が一種の”暗号”となっていて、それを解読した結果得られるのが裏東雲文章であるといわれている。ゆえに、東雲文章自体はあくまで一種の壮大なカモフラージュ(そちらだけに目線を向けるという意味では一種のミスディレクションじみた)だったのかもしれない。
 経済・外交政策に関しては非合法取引、闇取引などに関連した内容が主に記載されているが特注すべきは軍備のほうである。
 当時の科学、軍事力と資本力など全てを統合的に判断し、将来的に発展しうる技術力を的確に予測し、それによって運用可能――可能、というだけで、それが倫理的にまかり通るかは完全に度外視した――非人道的軍隊の構築に関する文章こそが、ある意味東雲文章の本質といっても過言ではなかったかもしれない。
 この文章を用いたっ結果生み出された軍が、実は一つだけ存在している。
 秘匿名「名を記されぬ傭兵団(ディスポーズド・バタリオン)」 実態は「帝国軍特別攻撃隊第六師団」(無論外部非公開)に該当する。
 ちなみに帝国軍特別攻撃隊第二師団の元隊長と副隊長はよく知られている人物である。
 (第一師団隊長:不明 第三師団隊長:グリウス・ブレア 第四師団隊長:ヴェリアル・D・アールハード 第五師団隊長:不明)

名を記されぬ傭兵団


 倫理に反した非人道的な手段を用いて構成された秘匿軍。
 人体実験の要素も含んでいる節がある。一例を挙げる。
  • 対戦車歩兵。特殊な手術と訓練により、条件反射によって感覚麻痺を誘導し、一般的な思考を剥奪し、単身で戦車などを攻撃する兵隊。条件反射の手法としては嗅覚が用いられており、これらの歩兵が用いている特殊兵装である紫炎火炎放射器(ブレス・オブ・タルタロス)の燃料である特殊薬品の臭いに反応するようになっているといわれている。その臭いは、アヤメバナという植物の放つ芳香と類似している。ゆえに当時の戦場においては「アヤメバナの香りは死神の香水。即座に逃げなければ、地獄の炎で魂までも焼き尽くされる」などという噂が飛び交うようになった。特に戦車乗りの間では有名であり(戦車内だと、この臭いに対して鈍感にならざるを得ない)この芳香が鼻を突いた瞬間には、戦車内部にこの兵隊の用いる特有の紫色の炎が充満していた、などという話もある。
  紫炎火炎放射器(ブレス・オブ・タルタロス):化学薬品の特殊反応によって、超高熱にして水で消えず、真空でも燃焼する”地獄の炎”を噴出する兵器。放出口には特殊加工がなされており、パイルバンカー状のそれは戦車の重装甲すら貫き、戦車内部を火の海に変えうる。
  • 特殊装甲重装歩兵:特殊技術によって作られたパワードスーツに身を纏った兵。その実態は、一度装着すると神経系を侵し、装着したが最後。二度とそれをはずすことは出来ず、特殊な感覚麻痺の薬品を投与しなければ神経痛でショック死すらしかねないという地獄が待つ。
  • 特殊化学戦術兵:極秘開発された特殊な化学兵器を用いる兵隊。D4ガス(極めて広範囲に速やかに拡散し、即効性で致死率の高い毒ガス)などが代表である。自身には特殊なワクチンを投与し無毒化されている。しかし実態は、自己免疫機能を侵し、戦争終了後自己免疫疾患によって全身がボロボロに朽ち果てて皆死んでいくという悲惨な事態を招いた。
  • 超々遠距離狙撃兵:長時間外部からの栄養摂取をせず、睡眠をとらなくても意識を覚醒状態のまま保っておける狙撃兵。無論人体にとってはその無茶が跳ね返ってくることとなり、一部の話では、気づいたら下半身全てが無くなっていたというケースが報告されていたらしい。
  • 脳処理特化型兵:人体実験の結果としてある例が報告されている。脳の処理能力を極限まで上昇させた人間を、コンピューター代わりにしようという考えがあった(機械は単純計算は得意だが、想像力などという点においては人間に劣る要素があるという考えに基づく)その結果として、人体の基本機能のほぼ全てを損傷し、考えるためだけに生きているような半植物人間が何人も生産されたとの報告がある。






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最終更新:2009年08月19日 08:06