「グ・・・ガッ・・・!」
体が地面に打ち付けられ、口から血を吐く。
頭が割れそうに痛い。
骨がミシッという嫌な音をたてる。
「やべ・・・死ぬ・・・かも・・・。」
それだけ呟いて銀崎の意識はブラックアウトした。
「ちょ・・・銀崎君?」
気絶した銀崎に夏目が駆け寄る。
「銀崎君!しっかりして!」
銀崎の体をゆさぶる。
雅人は病院に電話をかけている。
「銀崎君!銀崎君!銀崎くぅぅぅぅぅん!」
夏目は思いっきり叫んだ。
その時に銀崎の体のなかに光の球が入っていったのは誰も知らない。
「う・・・。」
銀崎は目を覚ます。
最初に見えたのは白い壁―――――否、天井だった。
「こ・・・こ・・・は?」
うまく声が出せない。
薬の臭い、自分の腕につながっている点滴と輸血用のパックからして病院だろう。
ふと、体に重量感を感じた。
「な・・・つ・・・め・・・?」
銀崎の体に腕を置き、それを枕にするかのように寝ていた。
目は泣き腫らしたのか腫れている。
恐らく銀崎が起きるのを待ちながら泣いていたのだろう。
フッと銀崎は微笑みをもらす。
が、その微笑みを見たものは誰もいなかった。
(それにしても・・・氷縁先輩はどうしたんだろう。)
と、思考をめぐらす。
が、大きな怪我をして血が足りない体ではそれ以上の思考は無理だった。
(や・・・べ・・・。)
また視界に霞がかかり、気を失った。
ふと、気がつくと、銀崎は草原に一人立っていた。
「ここは・・・?」
そう呟く。
そして声がすんなり出たことに驚いた。
銀崎は大急ぎで自分の体を見てみる。
「何故だ?!」
なんと、体にあった痣や擦り傷が無く、服についた血のシミまでもが消えうせていたのだ。
まるで、そもそも怪我などしていなかったかのように。
銀崎が一人混乱していると、
「どうした?」
背後から声がかけられた。
「のわぁっ!」
さっきまでは自分しかいなかったはず。
すごくゆっくりと後ろを振り向く。
「どうした?調子でも悪いのか?」
金色の髪、銀色の瞳を持った青年がいた。
「・・・あのーどちら様でしょうか?」
なんで敬語になる!と内心で自分に突っ込みながら突然現れた青年に不審の目を向ける。
「・・・そう不審がるな。何もしない。あ、名前だったな。我が名はシャイン。シャイン=アスタロト。」
(・・・世界戦争に出てくるあのシャインと同じ名前だな・・・。よく見たら姿も伝説と一致してるな。)
「俺の名前は・・・光 銀崎です。」
礼儀として一応名前をこっちも教えておく。
「銀崎か・・・。覚えておこう。」
「ところで、本当にここが俺の心の中なら、何であなたは―――シャインは、居るんです?」
いきな
り呼び捨てにするのは失礼かもしれない、といい終えてすぐ思ったが、シャインは気にした様子は無かった。
「それは―――銀崎、お前は『世界戦争』を知っているか?」
「えぇと、俺が結構幼い頃に聞いただけだからあまり覚えてないけど、確か神々と悪魔を引き連れた魔神が世界の存亡をかけて戦うという漫画みたいな話でしたっけ?」
「ああ。その通りだ。その話に私は、大きく関係している。」
「関係が・・・?」
色々考えてみたが見当がつかない。
「ああ・・・。信じられないだろうが・・・、私は、その話に出てくる光神だ。」
あまりに突拍子の無い話に、銀崎はしばらく呆然としていた。
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最終更新:2009年06月13日 14:51