第一章 第六話 処罰

「Aランクのモンスターといっても多くの種類がある。できるだけ凶悪な組み合わせに、と言われている。いいか?」

「はい、それでいいです。早く始めましょう。」

嬉しそうにしている咲に少し戸惑っている波間だが、校長の命令だ。やるしかない。

「では、この椅子に座ってもらう。バーチャルだが、精神的負荷は大きい。本気でやれ。開始直後、攻撃が来るぞ。」

咲は無言で指定された椅子に座った。そして、なにかを頭に取り付けられた。一時的に意識がブラックアウトした。

「草原?暴れやすくていいね。ん?」

上空から丸い影。周りを取り囲むように落ちてきた。いきなり、咲のすぐ近くの地面が爆発した。

「へぇ、遠距離攻撃もできるんだ。楽しませてね♪」

そう言い、ほほ笑む。戦いを楽しんでいる時の顔だ。

さらに爆発。だが、咲はもうそこにいない。遠距離の攻撃など、関係ない、とでも言うように違う敵に向かっていった。

最初に攻撃してきたモンスター以外は近距離型のようだ。言っていた通り、10体。そのうちの9体は近距離型だ。攻撃力、速度共に、強力だ。

「突っ込んでくるだけじゃ、倒せないよ。双爆雷槍。」

移動中にすでに準備は終えていた。巨大な猿のようなモンスターに、右腕の雷槍を突き刺す。雷に見せたものだ。まばたきをした後には肉塊しか残らない。その肉塊も数秒後には消滅する。

左腕の雷槍を真上に向って投げる。上空で分解して無数の雷槍となって降り注ぐ。遠くから飛んできた砲弾のようなものもうち落とす。

大蛇のようなモンスター、鳥のようなモンスターが貫かれ、倒れた。

「手応えなさすぎ!つまらなさすぎる!どうせならSにしてもらえばよかったー。」

不満を漏らしつつ、爆雷槍で倒れていた2体にトドメを刺す。

「つまらないし、終わらせちゃおうかな。陰、陽。」

輪型の刃の中心に穴があいていて、横一文字に持ち手がついた武器が現れる。咲の持つ武器の内のひとつ、円輪刀。

黒い十字型の刃がついた円輪刀、陰を右に、美しい模様が彫られたシンプルなデザインの円輪刀、陽を左に投げた。

速度は、どちらかと言えば遅い。簡単に避けられる。当然、二つ共避けられた。だが、それは囮に近い行動。陽が飛んで行った先に咲はいた。

「さーてと、やっぱじゃまなのから消さなきゃね。」

飛んできた陽を右手で取り、甲羅にいくつもの砲台がついた亀のようなモンスターを切り裂く。恐ろしいほどに滑らかな断面。どれほどの切れ味なのだろうか。

切り裂いたと同時、と言っていいほどの速度で陰の飛ぶ先に移動する。多分、屋上へ移動した手段と同じだろう。

陰を左手で取る。十字の刃が急に巨大化する。長く、大きな刃だ。陰・陽は特殊な効果が付加されている。

陽で与えた痛みの分だけ、陰の攻撃が強力になる。戦いが長引けばこれほど凶悪な武器はないだろう。

「近くに2体いるね。殺しちゃおー♪」

陰ですぐ左側にいた二足歩行で腕が4本あるトカゲのようなモンスターを縦一直線に切り裂く。更に横一閃。命の灯火の消えた肉塊は崩れ、消滅する。

流れ作業のように、右側にいる、少しだけ距離があった敵へと移動する。陽で切り裂く。巨大な岩を削り、作り上げた石像のようなモンスターは、硬さを無視したかのように切り裂かれ、先ほどのトカゲ同様崩れ去り、消滅する。

手応えが無いといっても、やはり戦いは楽しい。そう実感しながらどんどん敵を片づけていく。

「残りは4体か。あれ?あのモンスター、さっき学校で倒した奴じゃんか。」

先ほど倒したモンスターと同種のものがそこにいる。

「二度も戦いたいほど手ごたえないよ。」

また、瞬間で距離を詰め、切り裂いたつもりだった。

そこには、同種の二体のモンスターがいた。

一瞬で咲は気付いた。分裂したということに。

携帯からだとやり辛いな…ごはっ!

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最終更新:2009年04月25日 13:53
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