「暇だな…」
人気のない寂れた公園でうなだれていた三人組の一人―黒神 龍―が特に意味のない言葉を呟く。
最近、いや、毎日が退屈なのだ。
「そんなに退屈なの?わたしはこうしてれば楽しいんだけどな…」
二人いる女の子の内の大人しそうな方―神伝 綾乃―が控えめな反論をする。
「特に娯楽もねぇし、つまんねぇ毎日だろ。」
「ごめんね…私の体が弱いせいで激しい遊びができないから…」
「そんなことないって!綾乃がいると場が和むし!」
特徴のない最後の一人―五月雨 夏姫―がフォローを入れる。
だが、そのフォローをぶち壊す発言が発せられる。
「あー、そうだよ!お前がいると狩りにも行けねぇよ。」
「だよね・・・邪魔だよね・・・」
龍にとっては軽い言葉だが、綾乃にはお前は邪魔だという拒絶に思えた。
悲しくなり、涙が滲む。
「あぁ、もう!龍は毎日毎日綾乃を泣かせるな!てか、お前も泣くなっ!」
そう、これが日常。
龍が愚痴をこぼし、綾乃が反応する。
夏姫がフォローを入れ、竜がそれをぶち壊す。
そろそろ学習してくれないかなー、と夏姫は思っていた。
まぁ、楽しいからいいんだけれど。
「あー、うぜえ!泣くな!」
「えぐっ・・・」
龍の勢いに押されて余計に落ち込み、涙も増える。
毎日こんなに泣いてたら、そのうち涙が枯れるのではないだろうか。
そろそろだろうな、と夏姫が思い始めた頃―――
逃げた。
綾乃が耐えきれなくなり、この場から逃げ出した。
これも日常。
龍が追い打ちをかけ、綾乃が逃げ出す。
この次は、夏姫が追いかけて、綾乃を慰める、だ。
綾乃がはずれくじ引いてるけど、被害者は私だよ・・・と嘆く。
「ねぇ、もうさぁー、これやめない?疲れるんだけど。」
「綾乃がうじうじするのがいけねぇんだろ。」
「まぁ、性格に問題あるけど、仕方ないでしょう?あの子インドア派だし。」
「わかった、わかった。」
やっと折れてくれたか。明日から何やるかなー、と思考を巡らせていたとき、
「んで、追いかけねぇのか?」
・・・完璧に完全に忘れていた。
「わー!忘れてたー!ごめんよ綾乃ぉお!」
夏姫は近所迷惑だろ、と思うほど大きい声で叫び、走りさっていった。
最終更新:2009年07月23日 11:24