パイプの素材
ブライアー(ブライヤー)
ブライアー(Briar)は現代においては最も一般的なパイプの素材で、ツツジ科の一種『ホワイトヒース(学名:Erica arborea)』の根塊の事を指します。
主に地中海沿岸の岩場に繁茂していますが、年々数が減ってきているようです。
情報の少なかった時代、「バラの根」などとも言われましたが全くのデタラメです。
処理の仕方は業者によって異なりますが、細かくカットされた後、煮沸させて樹脂を抜き取り、乾燥させて(キュアリング)からパイプに加工します。
一般的に素材の名称が用いられない場合、ブライアー製であることが多いです。
グレインと呼ばれる木目があり、価格に大きく影響します。
メシャム
日本では海泡石などと呼ばれますが、実態はセピオライト鉱石です。
比較的純度の高い、亀裂の無い原石からブロックが取られて加工されます。
セピオライトはペット用のトイレ材として使われるほどに吸水性が高く、故に誰でもドライなスモーキングが可能です。
一方、モース硬度は2と低く、人の爪でも用意に傷ついてしまいます。
柔らかいために人面に裸婦、ドクロからドラゴンまで色々な形に削られます。
セピオライト自体はアメリカやスペインでも採掘されますが、パイプに加工されるのは主にトルコです。
また加工の際に出た粉を練って塊にした「練りメシャム」も存在します。
「パイプの貴婦人」と呼ばれることもありますが、パイプの中で突出して高価というわけではありません。
コーン
その名の通り、トウモロコシの芯が素材です。
アメリカで専用に開発された品種で、実は落とされ表面に石膏を塗ったものが一般的です。
日本ではマッカーサーのパイプとして有名ですが、普段はブライアーパイプを使っていたそうです。
吸水性がそれなりに高く、安価ではありますが安定した喫味を持つため、初心者へ勧められることが多いです。
耐熱性はブライアーほどありませんが、熟練したパイプスモーカーであれば焦がしたりするようなことはありません。
結局は使い手の問題です。
クレイ
粘土を焼き固めて左右張り合わせて作られます。
歴史はとても古いのですが、現在では主流ではありません。
安価ですが元は使い捨てで、メシャム以上に破損しやすく、
またボウルは手で持てないほどに熱くなり、その為にシャンクを持ったりボウル下部の足をつまんだりします。
入手自体が中々難しくなっています。
チェリー
フランス産の桜が素材です。
フランスのROPP社のものが有名ですが、1991年に同社が閉鎖され、その後フランスのChacomに引き継がれてからは生産されなくなりました。
コーンパイプで有名なMissouri Meerschaum社から安価なものが発売されていますが、本格的なものではありません。
ブライヤーパイプのシェイプ名の一つ、cherrywoodはこのパイプの基本形を手本にしたシェイプ名です。
モルタ
モルタ(Morta)は近年になって注目されてきた素材で、ボグオークの炭化した埋もれ木(半化石)です。
素材自体は黒っぽく、基本的には更に黒く着色されます。
木目が独特で、サンドブラスト処理を行うことによって更に特徴的になります。
その為、殆どのモルタパイプはサンドブラスト所処理をされているものばかりです。
原木にキズがあるものが多く、大量のブロックが必要になるためその木目とは関係なくブライヤーパイプと変わらない金額で売られています。
ストロベリーウッド
ストロベリーウッド(Strawberry wood)は近年になって注目されてきた素材で、日本ではイチゴノキと呼ばれる植物です。
ブライヤーとはまた違ったグレインで、ストロベリーウッドも多くの場合サンドブラスト処理をされます。
独特な喫味を持つといわれますが、まだまだレビューが少なく、確固たる特性が解っていないのが現状です。
最終更新:2016年02月19日 22:54