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国名 動力開発財団アルベド
(英名) Power Development Foundation Albedo
標語 我らの手に動力あれかし
国歌 永遠の光
公用語 工学言語ロジラン
政体 企業国家

概要 [#oe545ddb]

フォンタニエ恒星系第一惑星バーニヤとその周辺宙域におけるソーラープラント・ソーラーサテライトの開発を主な事業とする財団。
元々機械種・幻想種が自らの地位を担保するための資本力を自らの得意とする極限環境での活動によって獲得するべくして設立されたため、その従業員もほとんどが機械種と幻想種によって占められている。

歴史 [#i1a517c2]

機械種と人類種の衝突が広まりつつあった時期に、アンゼロットという論理学者が機械種の論理構造を分析しそれをもとに工学言語ロジランを開発したところ、それに興味を持つ者たちが形成したコミュニティが財団の母体である。
このコミュニティの中でジョーク的に自らの開拓地を創ろうという運動が起こり、ある資産家の娘の幻想種がこれに出資したことが契機となって財団が設立された。
財団は公転と自転が同期しているというあまりにも極端な環境ゆえにエネルギー惑星としてもゴエティアやディヴィーカの第一・第二惑星に比べ注目されていなかったフォンタニエ第一惑星をバーニヤと命名、開発に着手した。
その後、財団は発展を遂げ、国家に準じる勢力を持つに至っている。成長と共に当初の理念は次第に変質し、ギークの集まりというよりは自らの資本力を担保として幻想種・機械種に雇用と地位を与える企業体としての色合いが濃くなってきているものの、今でもその企業文化には初期のロジラン・コミュニティの空気が残っている。

地勢 [#xf6b0db4]

フォンタニエ恒星系第一惑星バーニヤを拠点とする。バーニヤは自転と公転が同期しており、常に日射にさらされる昼の半球とその逆の常夜の半球に二分される。
基本的に環境維持に関しては最低限のものしかされておらず、人類種は特殊な宇宙服なしでは軌道上のステーションの一部区画を除いてまともに活動することができない。

出島ステーション [#x189130c]

軌道上にあるステーションの一つ。全域を人類種でも生活可能な環境にしており、星団内の多様な出自の幻想種・人類種の文化が共存している。

政治 [#b8fc3b72]

幻想種や機械種の権利保障を旨とする権利章典とそのための法制度を持つという点では単なる企業ではないが、基本的な体制は役員が決定する企業国家である。

政治思想 [#l55ed472]

基本的な政治理論としては自己所有権テーゼに基づく自然権理論を採用する。機械種や幻想種も、財産権さえ認められればあとは人類種と対等に行動できるはずという立場である。そして財団の存在意義はそれ自体の資本力により財団に属する機械種・幻想種の財産権を担保することにあるのである。

移民・国籍政策 [#x5bea124]

正規のアルベド国籍を取得するためには、原則としてロジランを使用して抽象的な議論にも対応可能であると証明することが必要とされており、財団のロジラン能力試験に合格するのが最も基本的な手段となっている。この試験は特に種族に関係なく受験資格があるため、アルベド国籍も理論的にはどの種族でも取得可能ということになる。現在でも後述の特例制度を使用できない者、特に人類種の外見を持った機械種がこの制度によりアルベド国籍を取得する事例はまま見られる。
しかし、財団設立以来、外見を人類種に偽装して他国に帰化することができないような状況にある者は救済措置として特例的にロジランを習得するまでの間暫定的に財団の保護下に入ることができるとされており、大抵のアルベド帰化者はこれを通じて提供されるロジラン講座を受講し試験に合格してアルベド国籍を取得してきた。当然のことながらこの制度が利用できるのは幻想種と機械種に限られる。
なお、アルベド人の子に与えられる籍もアルベド保護下に準じる扱いがなされ、ロジラン能力試験に合格するまでは彼らは正規のアルベド人としては扱われない。とはいえやることは実質的には義務教育を受け、試験を受けるだけなので彼らの扱いは実質的には他国の児童・生徒とそう変わりはない。

経済 [#c60500d3]

第一惑星だけあって有り余るエネルギー資源を活用するエネルギー技術で知られ、最も有名な産品は安定化反物質ペレットである。
機械種の多い国家であるため、自分たちを自前で設計開発できる程度の機械技術も当然有している。これと極限環境を活かした特殊加工を行った機械も産品の一つ。

外交 [#vb88b027]

機幻両種の地位確立を目標とはしているものの、あくまで財団に籍を置く機械種・幻想種の地位確立を求めるのであって現地国籍の機械種・幻想種の扱いには強く介入しないスタンス(亡命者の受け入れはありうるが)。
そのため対外活動に関してはあまり種族に拘泥せず、人類種国家も含めた他国に支社(大使館に相当)・支店(領事館に相当)を設置している。
あまり知られていない(社史には書いてある)が、財団の設立には結構なユラナス人が関わっており、人類種国家なのだがユラナスとの取引実績はそれなりにある。

文化 [#k94ee208]

大学・学術機関 [#r72c4793]

アンゼロット記念大学 [#ub3386e6]

ロジラン・コミュニティにより設立された学術研究を目的とする社団であり、来歴からすると財団よりも法的には古い。現在は総合大学としてあらゆる学問領域を研究対象としている。
儀礼上も財団と同格であり、特別な定めのない限り財団組織からは独立して活動する権利を有する。ただし実際には財団と協同してバーニヤの開拓と研究にあたってきた。

フォンタニエ天文物理研究院 [#t91fa5cb]

恒星フォンタニエに最も近い立地条件上、バーニヤは宇宙天気の影響を最も強く受ける。このような状況に対応するため設立された財団のフォンタニエ観測所は恒星フォンタニエが起こす様々な現象を観測することに成功しており、観測所に付設された研究所であるこの研究院は星団有数の宇宙物理と磁性流体力学研究機関に発展した。

高等工学技術研究院 [#i54f494a]

財団の工学研究部門におけるベスト・アンド・ブライテストたる研究機関。アルベドは機械種国家として当然のことながら機械技術と電子技術の技術開発に力を注いでおり、この研究院も主にメカトロニクス分野において優れた実績をあげ続けている。

種族 [#r95f6cca]

  • 機械種
  • 幻想種

言語 [#pb58aac4]

工学言語ロジラン [#v6cd5707]

ロジランは、機械種と非機械種の円滑な意思疎通のため設計された工学言語・論理的言語。仕様は一般公開されており、社外で用いても問題ない。
以下の特徴により機械種にも非機械種にも解りやすいとされている。
  • 述語論理に従っており、容易に文法解析することができる
  • 曖昧表現を行う場合、何が曖昧にされているか明示されるため、認識の齟齬をきたさない
  • 人類種や幻想種による発音の揺れを許容しつつもシンプルな音声認識システムでの認識を可能とする音韻体系を持つ
  • 「証拠性」の文法範疇が発達しており、「なぜそう言えるのか」を簡潔に説明できる

人物 [#q3ba4b4f]

アンゼロット [#yfa84038]

工学言語ロジランの設計者で、哲学者・論理学者・言語学者。財団の顧問哲学者。ユラナス出身とされランパード大学で教鞭をとっていたこともある。
本人は財団の活動には基本的に関与せず、星団各地で哲学カウンセリングや言語哲学研究をしている。

宇宙船 [#h8135c15]

財団の軍事ドクトリンはシンプルで個別の役割に特化した生産性の高い艦艇が連携して行動するというもので、補給と軽い整備が行え無人艦艇を後方支援する戦闘用航宙母艦、索敵・探査能力に特化したレーダーピケット艦、火力に特化した無人砲艦、機動力に特化した無人戦闘艇が相互にデータリンクを駆使して作戦にあたる…はずなのだが、現状では数をそろえ切れていない。
財団の保有する艦艇はエネルギー技術が突出しているため実体弾やミサイルではなく主に荷電粒子砲やレーザー砲を装備する。
また、恒星に近い宙域での活動が多いことから強い電磁場や磁気嵐に耐えられるよう無人戦闘艇までデフレクター・シールドを装備させている。

汎用航宙母艦 [#w4f4fb80]

ソーラーサテライトの維持整備を行うドローンや後述の無人砲艦・無人戦闘艇の母艦。長距離探査センサー・加工工作設備・艦艇ハンガーなどを装備する。
機動力を持った小型宇宙工場と呼べる程度の設備を備えており、機械類の輸出を行う際、場合によっては現地で求められた仕様通りに加工するために輸送艦ではなく本艦を他国に送ることもある。
財団のドクトリンと現実の矛盾を表しているような艦である。本来戦闘用航宙母艦とレーダーピケット艦が持つはずだった役割をそれらの艦の建造が追い付いていないことから工作艦的な非戦闘艦艇であるはずの本艦のハイエンド化により全部引き受けさせるという解決法がとられた。結果として本艦は戦場での喪失を許容しがたいほど高コストとなり、それに対処するため更に強力なシールドを装備した結果、生産性の問題で無人艦艇に対する母艦の数が不十分な状態となってしまっている。
明らかにこの艦の数がアルベドの外征能力のボトルネックとなっているが、財団は「バーニヤ近傍宙域であれば母艦なしで無人艦艇も行動できるし、それで防衛戦ができるからとりあえず十分」という考えで状況の改善は先延ばしされ続けている。

輸送艦 [#tdda1c55]

財団の企業活動を支える輸送艦。艦自体も時に輸出品になることがある。ワープエンジンを搭載した星系間用からバーニヤ=軌道ステーション間のシャトル用まで、大小いくつかの型がある。
財団が運用している艦はいずれも反物質炉、自衛用の近距離迎撃レーザー砲、そしてもちろん大容量の貨物庫を装備している。
人類種が宇宙服なしで艦内に搭乗することを可能とする船内環境設計がなされているのはアルベド艦では本艦のみである。

無人砲艦 [#t9224887]

反物質炉と陽電子砲(主砲)・レーザー砲(副砲)を装備したシンプルな作りの砲艦。
量産性を重視し、ほとんどの場合その制御システムは自我を持たないメカ。
単独でワープしたり遠距離索敵したりすることはできず、バーニヤ軌道上から離れて活動するならば母艦が必須。
母艦から出撃ごとに作戦指令代わりに状況を学習(新規教師データ入力)させて母艦への帰艦ごとにまたそれを更新していくような運用を行う。
小天体の迎撃を主目的とするが、財団の軍事力としての役割も担う存在であることは言うまでもない。
主砲に反物質砲を採用していることから分かるように、もとより大気圏内での交戦は想定されていない。

無人戦闘艇 [#gc57f38e]

無人砲艦の小型版で、陽電子砲も搭載していないが、反物質炉による大出力を活かし高い機動力を持つ。
リフティングボディを採用しており、大気圏内戦闘も可能である。なおこれも無人砲艦と同じくメカである。
財団のシミュレーションでは列国の戦闘機に大気圏内で相対した時のキルレシオは芳しくないとされるが、財団は生産性と整備性の差でそれを充分に補えると判断している。

科学探査艦 [#ea2b8c74]

文字通り科学探査用の艦で、様々な波長のカメラ・分光計や電磁波・重力波センサーなどの各種センサーや塵・ガス採集分析装置と探査用ドローンを搭載したハイテク艦。
この種の艦は対象に応じてどのようなデータを取得すべきか分析して最適化し、場合によっては対象と交渉を行うこともあるためアルベド人機械種の意識を搭載させることが多い。もし科学探査艦に宇宙空間で遭遇した場合、一隻一隻が歴としたアルベド人(?)ということになる。
最終更新:2020年02月23日 05:07