三角形の外心のベクトルによる「重心座標表現」
「ベクトル AB」をここでは (→AB)で表すことにする。
三角形ABCの「外心」を「外心O」とし、「垂心H」の場合と同様に、
xを (→AB)と(→AC)との「内積」とする。
x=((→AB),(→AC))、同様に y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))である。
このとき、x+y=c2,x+z=b2,y+z=a2 ・・・(2.1)で
x=(b2+c2―a2)/2,y=(c2+a2―b2)/2,z=(a2+b2―c2)/2・・・(2.2)
yz+xz+xy=4(S^2)・・・(2.3)であった。
さらに ∠BAC=Aなることと「内積」の定義から x=((→AB),(→AC))
=(AB)(AC)cos∠BAC=cbcosA すなわち、
x=bccosA,同様にy=cacosB,z=abcosC ・・・(2.4)である.
また、Sを△ABCの面積として 2S=bcsinA=casinB=absinC ・・・(2.5)
三角形ABC⊂E2⊂Emとする。ここにm≧2とし、Emは
m次元ユークリッド空間とする。
さて、「外心O」の△ABCに関する 「ベクトルによる重心座標表現」を述べる。
点PをP∈Emなる任意の点としたとき、
(あ) 三角関数の表示では、
(→PO) =1/(4sinAsinBsinC)×{sin2A(→PA)+sin2B(→PB)+sin2C(→PC)}・・・(2.6)
であって、簡単な計算で sin2A+sin2B+sin2C=4sinAsinBsinC ・・・(2.7)
となるので (2.5)は「係数の和=1」となる「ベクトルによる重心座標表現」である。
(い) 「内積」による表示では、
(→PO)=1/(8S2){x(y+z)((→PA)+y(x+z)(→PB)+z(x+y)(→PC)} ・・・(2.8)
このとき、(2.1)(2.2)から (y+z)x+(x+z)y+(x+y)z=8S2・・・(2.9)
「ベクトルによる重心座標表現」である。
(う) 「3辺」a,b,cによる表示では、
(2.2)を用いて
(→PO)
=1/(16S2)×
{a2(b2+c2―a2)}(→PA)
+1/(16S2)×{b2(c2+a2―b2)(→PB)+c2(a2+b2―c2)(→PC)}
・・・(2.10)
となる。
これも「係数の和=1」の「ベクトルによる重心座標表現」となることは(2.7)から明らかである。
◎ まず(2.9)は(2.3)から x(y+z)+y(x+z)+z(x+y)=2(yz+xz+xy)=8S2
としてでてくる。
以上(あ)(い)(う)の3通りを示したが、「(い)から(あ)を」計算が少しいるが、次のように
導くことができる。(2.4)(2.5) 及び「2倍角の公式」を用いる。
8S2=2(2S)2=2(casinB)(absinC)=2a2bc(sinB)(sinC)
よって 1/(8S2)に代入すると 1/(8S2)=1/{2a2bc(sinB)(sinC)}だから
まず 1/(8S2)×(a2x)=1/{2a2bc(sinB)(sinC)}×a2x}
=x/2bc(sinB)(sinC)
=bc(cosA)/{2bc(sinBsinC)}=cosA/(2sinBsinC)
=2sinAcosA/(4sinAsinBsinC)=sin2A/(4sinAsinBsinC)
つまり、
1/(8S2)×(a2x)=sin2A/(4sinAsinBsinC) ・・・(2.11)となる。
同様にして 1/(8S2)×(b2y)=sin2B/(4sinAsinBsinC) ・・・(2.12)
1/(8S2)×(c2z)=sin2C/(4sinAsinBsinC) ・・・(2.13)
ゆえに (い)から(あ)がでてくる。 この場合「計算」が、「垂心H」の時ほど容易ではなかった。
同様に(2.2)を使うと「(い)から(う)を」導くことができる。
実際 (2.8)において
a2x=a2(b2+c2―a2)/2=1/2{a2(b2+c2―a2)}
b2y=b2(c2+a2―b2)/2=1/2{(b2(c2+a2―b2)}
c2z=c2(a2+b2―c2)/2=1/2{c2(a2+b2―c2)}
よって (2.8)は
(→PO) =
1/(16S2){a2(b2+c2―a2)(→PA)+b2(c2+a2―b2)(→PB)+c2(a2+b2―c2)(→PC)} となる。
☆ 最後に 図形的なことを述べておく。 (い)によれば,辺BA,AC,CB上、
またはその延長上に点L,M,Nをそれぞれ
BN:NA=a2x:b2y、AM:MC=c2z:a2x
CL:LB=b2y:c2zとなるようにとったとき、 「直線AL、直線BM、直線CNは1点で交わり」
その点が「外心O」である。
(あ)によれば、 BA,AC,CB上,またはその延長上に点L,M,Nをそれぞれ
BN:NA=sin2A:sin2B、AM:MC=sin2C:sin2A CL:LB=sin2B:sin2Cの比に分ける点と
なるようにとったとき、
「直線AL、直線BM、直線CNは1点で交わり」、その点が「外心O」である。
また、(あ)のときは、△OBC:△OCA:△OAB=sin2A:sin2B:sin2C
ただし A=90度のような直角三角形のときは、sin2A=0であるし、Aが鈍角のときは
sin2A<0なので比に注意する必要がある。