幾何学再発見(瀬山 士郎 著)「シュタイナー・レームスの定理」の計算証明
◎ 幾何学再発見(瀬山 士郎 著)日本評論社 第9章のp109に「シュタイナー・レームスの定理」として、
次の[定理」が載っていて、「やさしそうで難しい定理の代表として、昔から有名である」
とある。
「定理」(シュタイナー・レームス)
三角形ABCの2つの角 ∠B ,∠Cの二等分線が対辺と交わる点をそれぞれD,Eとする。
このとき、BD=CE なら △ABCは二等辺三角形である。
これは初等幾何で解くのではなく、ベクトルを使えば直接計算で証明できる。
2006年3月6(土)に証明した。
「証明」
AB=c,BC=a,CA=b , 2s=a+b+c とおく。
直線BDは∠ABCの二等分線であるから CD:DA=BC:BA=a:c
よって (→BD)={a(→BA)+c(→BC)}/(a+c) より
(a+c)2|(→BD)|2=|a(→BA)+c(→BC)|2
=(ac)2+2ac×|(→BA)|(→BC)|×cos∠ABC+(ac)2
=2(ac)2+2ac×(ca)×(c2+a2―b2)/(2ca)
[ 余弦定理による]
=2(ac)2+ac×(c2+a2―b2)=ac{2ac+(c2+a2―b2)}
=ac{(a+c)2―b2)}=ac(a+b+c)(a+c―b)
=ac×2s×(2s―2b)=4acs(s―b)
ゆえに |(→BD)|2=4acs(s―b)/(a+c)2 ・・・(1.1.1)
同様に
直線CEは∠ACBの二等分線であるから BE:EA=CB:CA=a:b
よって、 (→CE)={a(→CA)+b(→CB)}/(a+b) より
(a+b)2|(→CE)|^2
=a2(CA)2+2ab×(a2+b2ーc2)/2+b2(CB)2
=2(ab)2+ab×(a2+b2ーc2)
=ab{(a+b)2―c2}=4abs(s―c)
ゆえに |(→CE)|2=4abs(s―c)/(a+b)2 ・・・(1.1.2)
条件 |(→BD)|=|(→CE)|は (1.1.1)と(1.1.2)から
4acs(s―b)(a+b)2=4abs(s―c)(a+c)2 となる。
⇔ (a+b)2×c(s―b)=(a+c)2×b(s―c)
⇔ (a+b)2×cs―(a+c)2×bs=bc{(a+b)2―(a+c)2}
⇔ {(a+b)2×c―(a+c)2×b}s=bc(b―c)(2a+b+c) ・・・(1.1.3)
ここで (a+b)2×c―(a+c)2×b=(a2)(c―b)+bc(b―c)=(c―b)(a2―bc) ・・・(1.1.4)
一方 右辺=bc(b―c)(2s+a) ・・・(1.1.5)
よって (1.1.3)は
(c―b)(a2―bc)s=bc(b―c)(2s+a)
⇔ (b―c){bc(2s+a)+(a2―bc)s}=0 ⇔(b―c){(a2+bc)s+abc}=0
(a2+bc)s+abc>0 だから b=c つまり AC=AB よって 証明された。
(証明終わり)