△ABCのベクトルによる重心座標表現の公式 2009.02.01(日)
△ABCに対して、その傍接円は3つできる。その「傍接円」の中心を「傍心」という。
したがって 「傍心」は3つある。△ABCの3辺を BC=a,CA=b, AB=c とおく。
E^mでm次元ユークリッド空間を表すものとし、(→PB)で「ベクトルPB」を表すものとする。
1.
「傍接円の定義」
平面上に辺BCを底辺にとり、頂点Aが上方にくるように△ABCを書いておく。辺ABの頂点Bの方への延長線上に点D、
辺ACの頂点Cの方への延長線上に点Eをとる。すると
∠B=∠ABCと∠C=∠ACBの「外角」はそれぞれ∠CBDと∠BCEになる。さて辺BCよりも下方で直線ABDよりも右かつ
直線ACEよりも左の△ABCの外部の「領域」を考える。この「領域内」において、辺BC及び直線ABDに接し、
かつ直線ACEに接する一つの円が△ABCの外部にできる。これを△ABCの『辺BCに「傍接」する「傍接円」』と
よぶことにする。この様な傍接円は辺BCに対してはただ1つ存在する。
その中心をE_Aで表し,「傍心E_A」という。またその円を「傍接円E_A」とよぶことにする。同様にして
『辺CAに「傍接」する「傍接円E_B」』,『辺ABに「傍接」する「傍接円E_C」』ができる。
この様に三角形に対しては「傍接円」は3つできる。
2.
※※※※※ 「傍接円E_A」の中心「傍心E_A」の求め方:※※※※※※※※※※※※※※※※
「傍接円E_A」は辺BCと直線ABDに接するのであるから、その中心E_Aは∠B=∠ABCの外角∠CBDの
二等分線m上にあり、∠C=∠ACBの外角∠BCEの二等分線n上にもある。この交点が「傍心E_A」になる。
さらに辺BCの下方へ、∠A=∠BACの二等分線lを引いてみるとlはこの点E_Aを通るのである。
つまり、2つの外角と1つの内角の3本の二等分線l,m,nは1点で交わり、
その交点が「傍心E_A」である。 (これが普通のE_Aの求めかたである。)
3.
[命題1.1]
△ABCに対して3辺の長さを BC=a,CA=b, AB=c とおく。
そのとき、「傍心E_A」の「ベクトルによる重心座標表現」は次のようになる。
△ABC⊆E^2⊆E^mとし、任意の点P∈E^m (m≧2)にたいして、
(→PE_A)={−a(→PA)+b(→PB)+c(→PC)}/(−a+b+c) ・・・(1.1.1)
(−a+b+c)/(−a+b+c)=1だから、
これは確かに△ABCに関する「ベクトルによる重心座標表現」である。
なお、b+c> a に注意されたい。
4.
この[命題1.1]を証明するために準備をする。
[補題1.2]
△ABCにたいして BC=a ,AC=b とおく また ∠BAC=A,∠ABC=B と書くことにする。
このとき、よく知られているように
a< b ⇔ A<B
a= b ⇔ A=B
a> b ⇔ A>B ・・・(1.2)
[補題1.3]
△ABCにおいて a< b (つまり BC< AC)とする。点D,Eは上記1.のようにとる。二等分線nも同じく
外角∠BCEの二等分線とする。
このとき外角∠BCEの二等分線nと直線ABとは交わる。
「証明」
外角∠BCEの二等分線n上 かつ、辺BCの下方に点Fをとる。
∠CBD+∠BCF <180度 ・・・(1.3.1) を示せば,
直線ABと直線nとは1点で交わる。
そこで (1.3.1)を示そう。
まず
∠CBD=180度−B ・・・(1.3.2) ,∠BCE=A+B よって∠BCF=(∠BCE)/2=(A+B)/2 ・・・(1.3.3)
また a< bだから[補題1.2]を使うと A< B <180度 よって 0< B− A<180度
⇒0度<(B−A)/2<90度 ・・・(1.3.4)
そこで (1.3.2),(1.3.3)より
∠CBD+∠BCF=(180度−B)+(A+B)/2=180度−(B−A)/2
(1.3.4)から 0度<180度−(B−A)/2<180度 よって ∠CBD+∠BCF=180度−(B−A)/2 <180度 となり
∠CBD+∠BCF<180度 となって (1.3.1)が示された。
([補題1.3]の「証明」終わり)
[補題1.4]
△ABCにおいて a=b のとき、∠BCEの二等分線nは直線ABと平行である。
「証明」
a=b ⇔ A=B から
∠BCE=A+B=2A よって ∠BDF=(∠BCE)/2=A (点Fは[補題1.3]と同じようにとる)
一方 ∠ABC=B=A
ゆえに 二直線AB,nに関して錯角の∠ABCと∠BCFとが等しいので平行である。
([補題1.4]の「証明」終わり)
5.
次に ※※※※※※重要な[命題1.5]を述べる。※※※※※※※※※※
[命題1.5]
△ABCにおいて a< b (つまり BC< AC)とする。点D,Eは上記1.のようにとる。二等分線nも同じく
外角∠BCEの二等分線とする。[補題1.3]より外角∠BCEの二等分線nと直線ABとは交わる。
この交点をF_Aとおく。F_Aは辺ABのBの方の延長線上にある。
⇒ F_Aは辺ABをb:aの比に【外分】する点になる。
A(F_A):B(F_A)=b:a
すなわち 点 F_Aは辺ABをb:(−a)の比に【分ける点】である。・・・(1.5.1)
【証明」
頂点Bから直線C(F_A) つまり nに平行線を引き、その交点をJとする。
BJ 平行 直線ACとなるから∠BJC=∠JCE(錯角が等しい)・・・(1.5.2)
ゆえに∠BCJ=∠JCE (何故ならCJすなわちnは∠BCEの二等分線だから)・・・(1.5.3)
よって(1.5.2),(1.5.3)から△BCJにおいて∠BJC=∠BCJ(△BCJは二等辺三角形)⇒ BJ=BC=a ・・・(1.5.4)
そこでBFとACが平行より △(F_A)BJ∽△(F_A)AC よって(1.5.4)から
A(F_A):B(F_A)=AC:BJ=AC:BC=b:a となる。
([命題1.5]の「証明」終わり)
6.
※※※※※※※それでは[命題1.1]の「証明」に入る※※※※※※※※※
[命題1.6]
△ABCにおいて 辺BC=a ,CA=b とし、(ア)b< c または (イ)b=c とする。
『辺BCに「傍接」する「傍接円」』の「傍心」を「E_A」とする。
このとき、(ア)(イ)どちらでも、
(→AE_A)=[b(→AB)+c(→AC)]/(−a+b+C) ・・・(1.6.1)
「証明」
(ア) a<b の場合、[補題1.3]から外角∠BCEの二等分線nと直線ABとの交点がある。それをF_Aとする。
[命題1.5]から 点F_Aは辺ABをb:(−a)の比に【分ける点】である。
よって 頂点Cを始点としたベクトルを考えて
(→CF_A)=[(−a)(→CA)+b(→CB)]/{b+(−a)} ・・・(1.6.2)
「傍心E_A」は直線C(F_A)上にあるから (→CE_A)=λ(→CF_A) ・・・(1.6.3)となる実数λがある。
(1.6.2),(1.6.3)から
(→AE_A)−(→AC)=λ[(−a)(→CA)+b{(→AB)−(→AC)}]/{b+(−a)}
=(bλ)/(b−a)(→AB)+{(a−b)λ/(b−a)}(→AC)
=(bλ)/(b−a)(→AB)−λ(→AC)
ゆえに (→AE_A)=(bλ)/(b−a)(→AB)+(1−λ)(→AC) ・・・(1.6.4)
一方 A(E_A)は∠BACの二等分線lであるから
直線A(E_A)と辺BCとの交点をKとすれば、BK:KC=c:bより
(→AE_A)=μ[b(→AB)+c(→AC)]/(b+c) ・・・(1.6.5) となる実数μがある。
(→AB),(→AC)は一次独立だから(1.6.4),(1.6.5)より
(bμ)/(b+c)=(bλ)/(b−a) ・・・(1.6.6) かつ
(cμ)/(b+c)=1−λ ・・・(1.6.7) このλ,μの連立方程式を解く。
(1.6.6) ⇔ λ=μ(b−a)/(b+c) ・・・(1.6.8) これを(1.6.7)に代入して
(cμ)/(b+c)={(b+c−(b−a)μ}/(b+c)
⇔ cμ=b+c−(b−a)μ ⇔ (b+c−a)μ=b+c ⇒ μ=(b+c)/(b+c−a) ・・・(1.6.9)
(1.6.9)を(1.6.5)に代入して
(→AE_A)=[b(→AB)+c(→AC)]/(−a+b+c) となる。
(イ) a=bのときC(E_A)平行AB
(→CE_A)=λ(→AB) ・・・(1.6.10)
また (→AE_A)=μ[b(→AB)+c(→AC)]/(b+c) ・・・(1.6.5)となる実数λ,μがある。
(1.6.10)⇔ (→AE_A)=λ(→AB)+1(→AC) ・・・(1.6.11)
(→AB),(→AC)は一次独立だから(1.6.5),(1.6.11)より
(bμ)/(b+c)=λ ・・・(1.6.12) かつ (cμ)/(b+c)=1 ・・・(1.6.13)
(1.6.13) ⇔ μ=(b+c)/c ・・・(1.6.14)
a=b ⇒ b+c−a=c よって (1.6.14) ⇔ μ=(b+c)/(b+c−a) ・・・(1.6.15)
(1.6.15)を(1.6.5)に代入して
(→AE_A)=[b(→AB)+c(→AC)]/(−a+b+c) となる。
([命題1.6]の「証明」終わり)
◎同様にして
[命題1.7]
△ABCにおいて 辺BC=a ,CA=b とし、(ウ)b > c とする。
『辺BCに「傍接」する「傍接円」』の「傍心」を「E_A」とする。
このとき、
(→AE_A)=[b(→AB)+c(→AC)]/(−a+b+c) ・・・(1.7.1)
※※※※※※※以上の[命題1.6] [命題1.7]より目標の[命題1.1]]が証明される※※※※※※※※※
[命題1.1]]の「証明」
△ABCにおいて 辺BC=a ,CA=b としたとき、
その【傍心E_A】について
(→AE_A)=[b(→AB)+c(→AC)]/(−a+b+c) ・・・(1.1.2)
よって
(→PE_A)−(→PA)=[b(→PB)−b(→PA)+c(→PC)−c(→PA)]/(−a+b+c)
⇔ (→PE_A)={(−a+b+c)−(b+c)}(→PA)/(−a+b+c)+{b(→PB)+c(→PC)}/(−a+b+c)
={−a(→PA)+b(→PB)+c(→PC)}/(−a+b+c)
となって証明された。
([命題1.1]]の「証明」終わり)
最終更新:2009年02月01日 15:13