一葉双曲面のGauss曲率及び、平均曲率について_2018_01_08(月)
「Yahoo 知恵袋」での「guanguansugaro」さんの幾何の質問に答えようとしていたが、期限が 2018_01_08(月)に切れてしまい、質問が削除された。難しいが良い問題が多かっただけに、削除され 残念だ。折角なので、ここに書いておく。
1 一葉双曲面 ・・・(1)を曲面Sとする。そのパラメーター表示を
u,vを用いて (x↑)=x(u,v)=(x,y,z)=(acoshucosv,bcoshusinv,csinhu) ・・・(2) にて表す。
ここに
はxの双曲線関数(hyperbolic_
functions of x)とする。
このとき、
,
,
・・・(3)が成り立つ。それで
(2)は(1)を満たすことが分かる。ベクトルの内積を「・」、外積を「×」で表すことにする。
一般論を述べる。第一基本形式 I(いち)は、 を用いて、I=
=
・
=(
+
)・(
+
)=
・
・
・
・・・(4)
と定義される。そこで、
・
,
=
=
・
,
=
・
,
・
・・・(5) とおく。このとき、
・
=
・
⇔
となる。また、
第一基本形式は、I= ・・・(6)とも表せる。
但し、x_u=∂x/∂u,x_v=∂x/∂v,ベクトルxのu,vによる偏微分である。また、曲面Sの1つの
単位法線ベクトルをeで表す。e=(
×
)/|
×
| ・・・(7)とする。ここに「×」は「外積」
を表す。第二基本形式Ⅱ(に)は,
=
・
,
=
・
,
=
・
として、
となるので、
Ⅱ
・・・(8)と定義される。このとき、
第一基本形式は正定値なので、
>0 ・・・(9)がいつも成り立っている。
Gauss曲率 Kは、
・・・(10)
で与えられ、平均曲率 Hは、
=
/[2
] ・・・(11)となる。
一般論はここまでとする。
さて、1番の回答に移る。一葉双曲面のGauss曲率及び、平均曲率を求める問題。(2),(3)から、 x_u=∂x/∂u=(asinhucosv,bsinhusinv,ccoshu),x_v=(-acoshusinv,bcoshucosv,0),もう一回 偏微分し、 x_uu=∂(x_u)/∂u=(acoshucosv,bcoshusinv,csinhu)=(x,y,z)・・・(12), x_uv=∂(x_u)/∂v=(-asinhusinv,bsinhucosv,0)・・・(13),x_vv=∂(x_v)/∂v =(-acoshucosv,-bcoshusinv,0)・・・(14)となる。ゆえに、 E=x_u・x_u=a^2sinh^2ucos^2v+b^2sinh^2usin^2v+c^2cosh^2u・・・(15), F=x_u・x_v=-a^2sinhucoshusinvcosv+b^2sinhucoshusinvcosv=(b^2-a^2)sinhucoshusinvcosv ・・・(16), G=x_v・x_v=a^2cosh^2usin^2v+b^2cosh^2ucos^2v=cosh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)・・・(17) よって EG-F^2 =(a^2sinh^2ucos^2v+b^2sinh^2usin^2v+c^2cosh^2u)× cosh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)-[(b^2-a^2)sinhucoshusinvcosv]^2 =cosh^2u[(a^2sinh^2ucos^2v+b^2sinh^2usin^2v)(a^2sin^2v+b^2cos^2v)
+(c^2cosh^2u_)(a^2sin^2v+b^2cos^2v)] ここで [ ]は2行に亘るとする。=cosh^2u[sinh^2u{a^2b^2(sin^2v+cos^2v)^2}+b^2c^2cosh^2ucos^2v+c^2a^2cosh^2usin^2v] =cosh^2u[sinh^2u{a^2b^2}+b^2c^2cosh^2ucos^2v+c^2a^2cosh^2usin^2v] =[b^2c^2cosh^2ucos^2v+c^2a^2cosh^2usin^2v+a^2b^2sinh^2u]cosh^2u・・・(18) そこで、 Δ=√[b^2c^2cosh^2ucos^2v+c^2a^2cosh^2usin^2v+a^2b^2sinh^2u]・・・(19) とおけば、 (18)は、EG-F^2=(Δ^2)cosh^2u・・・(20)となる。 次に、x_u×x_vを計算すると、[計算略] x_u×x_v=(-bccosh^2ucosv,-cacosh^2usinv,absinhucoshu)・・・(21) ゆえに |x_u×x_v|^2=coshu^2[b^2c^2cosh^2ucos^2v+c^2a^2cosh^2usin^2v+a^2b^2sinh^2u]
=(Δ^2)cosh^2u・・・(22)⇔|x_u×x_v|=Δcoshu ・・・(23) ここで次の[補題1]を準備する。 [補題1] Δ=abc・
「証明」(2)から、
=a^2cosh^2ucos^2v/a^4+b^2cosh^2usin^2v/b^4+c^2sinh^2u/c^4 =cosh^2ucos^2v/a^2+cosh^2usin^2v/b^2+sinh^2u/c^2 =[1/(abc)^2][b^2c^2cosh^2ucos^2v+c^2a^2cosh^2usin^2v+a^2b^2sinh^2u] =・Δ^2 [∵ (19)による]
⇔ Δ=abc・ よって証明された。
(証明終わり)
次に、
[命題2]
=
,
,
/
・・・(2.1)
と表すことができる。 「証明」 e=(x_u×x_v)/|x_u×x_v| ・・・(7)と(21)(23) により、 e=(-bccosh^2ucosv,-cacosh^2usinv,absinhucoshu)/[Δcoshu]
=(-bccoshucosv,-cacoshusinv,absinhu)/Δ =-(abc)(acoshucosv/a^2,bcoshusinv/b^2,-csinhu/c^2)/Δ・・・(2.2) ここで、
(2) より (x↑)=x(u,v)=(acoshucosv,bcoshusinv,csinhu) だから
(acoshucosv/a^2,bcoshusinv/b^2,-csinhu/c^2)=(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)・・・(2.3)を
(2.2)に代入して、
e=-(abc)/Δ
=-[(abc)/Δ]・・・(2.4) ところで[補題1]の
(1.1)式から、
(abc)/Δ=1/・・・(2.5) ゆえに(2.4)は
e=^{1/2}・
=/
・・・(2.6)となり証明された。
(証明終わり)
さて、L,M,Nを求めよう。L=H_11=x_uu・e,M=H_12=x_uv・e,N=H_22=x_vv・e であるので、 [命題2]と(12)から L=x_uu・e=(x,y,z)・e
=-(x,y,z)・(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) =-(x^2/a^2+y^2/b^2-z^2/c^2)/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) =-1/^(1/2) ・・・(23) [∵ 曲面Sの方程式は(1) から x^2/a^2+y^2/b^2-z^2/c^2=1 ]
即ち ・・・(24)
次に(13)の
x_uv=(-asinhusinv,bsinhucosv,0) と[命題2]と(2)の
x(u,v)=(acoshucosv,bcoshusinv,csinhu) により、
[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・M=[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)x_uv・e
=-(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)・(-asinhusinv,bsinhucosv,0)
=(x/a)sinhusinv-(y/b)sinhucosv=coshucosv(sinhusinv)-coshusinv(sinhucosv)
=coshusinhusinvcosv-coshusinhusinvcosv=0 よって[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・M=0
⇔ M=0 ・・・(25)
最後に Nを求める。(14)と(1)(2)[命題2]から
N=x_vv・e=(-acoshucosv,-bcoshusinv,0)・e
=(-acoshucosv,-bcoshusinv,0)・[-(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)] /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) =(-x,-y,0)・[-(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) =[x^2/a^2+y^2/b^2]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) =[(x^2/a^2+y^2/b^2-z^2/c^2)+z^2/c^2]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) =[1+z^2/c^2]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) =[1+c^2sinh^2u/c^2]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) =[1+sinh^2u]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) =cosh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) [∵ cosh^2u-sinh^2u=1 ]
つまり、N=cosh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(26)
☆それでは、Gauss曲率K 及び平均曲率 Hを求めよう。 (24)(25)(26)により、 LN-M^2=LN-0^2=LN =-1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・cosh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) =-cosh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4] ・・・(27) ゆえに、(10)とEG-F^2=(Δ^2)cosh^2u・・・(20)から、 K=(LN-M^2)/(EG-F^2)=-cosh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4] ÷[(Δ^2)cosh^2u]
=-1/[(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)(Δ^2)]・・・(28)ここで[補題1]から、
Δ=abc・[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) ゆえに、 K=-1/[(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)・(abc)^2・(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)]
=![]()
・・・(29) 即ち
Gauss曲率Kは
・・・(30)
つまりパラメーターu,vに無関係に、一葉双曲面の任意の(x,y,z)に対し、
Gauss曲率は、 (30)で与えられ、K < 0 ・・・(31)であることも分かった。
また、(x,y,z)の値により変化することも分かった。次に Sophie Germain(ソフィー・ジェルマン)の平均曲率 Hを求める。M=0と(24)(26)により、
・・・(32)であった。
ここで、E=a^2sinh^2ucos^2v+b^2sinh^2usin^2v+c^2cosh^2u・・・(15)と
N=cosh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(26)とにより,
EN=cosh^2u[a^2sinh^2ucos^2v+b^2sinh^2usin^2v+c^2cosh^2u]
×1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
=cosh^2u[sinh^2u(a^2cos^2v+b^2sin^2v)+c^2(1+sinh^2u)}
×1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) {∵ cosh^2u-sinh^2u=1 ] =cosh^2u[(cosh^2u-1)(a^2cos^2v+b^2sin^2v)+c^2sinh^2u+c^2] ×1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
=cosh^2u[a^2cosh^2ucos^2v+b^2cosh^2usin^2v+c^2sinh^2u-(a^2cos^2v+b^2sin^2v)+c^2]
×1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(33) [ ∵ sinh^2u=cosh^2u-1 ] また、(17)のG=cosh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v_)と(24)の
L=-1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)とから、
から GL=cosh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)×[-1/(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^(1/2)]
=-cosh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)/[(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^(1/2)] ・・・(34)
ゆえに、 EN+GL=cosh^2u[a^2cosh^2ucos^2v+b^2cosh^2usin^2v+c^2sinh^2u-(a^2cos^2v+b^2sin^2v)+c^2] /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) -cosh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)/[(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^(1/2)]
=cosh^2u[(x^2+y^2+z^2)-(a^2cos^2v+b^2sin^2v)-(a^2sin^2v+b^2cos^2v)+c^2]
/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) =cosh^2u[(x^2+y^2+z^2)-a^2(cos^2v+sin^2v_)-b^2(sin^2v+cos^2v)+c^2] /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) =cosh^2u[(x^2+y^2+z^2)-(a^2+b^2-c^2)] /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) ・・・(35)
[ここで、(1)の x=acoshucosv, y=bcoshusin^2v,z=csinhu を用いた。]
したがって、(32)の平均曲率は (35)÷[2×_(20)]として
H=[EN-2FM+GL)/[2(EG-F^2)]=[(EN+GL)/[2(EG-F^2)]
=cosh^2u[(x^2+y^2+z^2)-(a^2+b^2-c^2)]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
÷[2(Δ^2)cosh^2u]・・・(20)
=
×1/[2(Δ^2)] ・・・(36) ところが[補題1]により、
Δ^2=
×
よって (36)から
/
![]()
・・・(37) と求まった。
一葉双曲面の任意の(x,y,z)に対し、平均曲率は (37)で与えられパラメーターに関係ない。
なお、上記の内容は、小林 昭七著「曲線と曲面の微分幾何」のP62の例3.3を敷衍(ふえん) して書いただけである。今はこのような古典的な内容は大学ではやらない事が多い。 大学1年生か2年生の内容である。私のときもやらなかった。 いきなり3年生で多様体論を学習した。研究者を目指す読者は早いうちに、、 「多様体論」を学習するべきであると思う。「多様体論」の本としては、 松島与三「多様体入門(新装版)」と村上 信吾「多様体第2版」,松本 幸夫「多様体の基礎」
今は、東京大学出版会の |
「坪井 俊」の「多様体入門」から始まる幾何学の三部作「幾何学<1>_多様体入門」, 「幾何学<2>_ホモロジー入門」,「幾何学<3>_微分形式」がある。坪井の本は行間が狭く、
1頁に文字がびっしりと記されており、内容が盛りだくさんで、なかなか読みにくい気が
私にはする。
★ 次回は、二葉双曲面P62~P63の例3.4について(古典的な微分幾何)などか、 「四面体及び三角形の内心Iと、内接球面と接点I^A,I^B,I^C,(I^D)との間のベクトル等式」について 記す予定である。