五心の中で傍心を除いた四心の内、二心が一致⇒正三角形の証明_2018.07.15(日)

三角形ABCで、五心の中で、傍心を除いた四心の内、二心が一致⇒正三角形を「重心座標の
内積表示を用いて」証明する。この「証明」は2017_08_17(木)に完成した。簡単だった。
このブログをあまり読んでおられない方のために少し復習をしておく。

0.1

△ABCで、3辺の長さを,BC=a,CA=b,AB=cとし、面積をSとおく。
(→AB,→AC)=x,(→BA,→BC)=y,(→CA,→CB)=z・・・(0.1.1)
とおくと、次のことが成り立つ。
y+z=a^2=BC^2・・・(0.1.2),z+x=b^2=CA^2・・・(0.1.3),x+y=c^2=AB^2・・・(0.1.4) 
また、 4S^2=yz+zx+xy>0・・・(0.1.5)
「証明」
(0.1.2)は次のように示される。(0.1.1)から、y+z=(→BA,→BC)+(→CA,→CB)
 =(→BA,→BC)-(→CA,→BC)=(→BA,→BC)+(→AC,→BC)=(→BA+→AC,→BC)
 =(→BC,→BC)=BC^2=a^2 。(0.1.3),(0.1.4)も同様である。最後に(0.1.5)を
示す。S=(1/2)bcsinA=(1/2)(AC)(AB)sin A⇔2S=(AB)(AC)sinA
 ⇔ 4S^2=(AB)^2(AC)^2(sin^2A)=(AB)^2(AC)^2(1-cos^2A)
         =(AB)^2(AC)^2-(AB)^2(AC)^2(cos^2A)=(AB)^2(AC)^2-[(AB)(AC)(cosA)]^2
         =(AB)^2(AC)^2-[(→AB,→AC)]^2 (∵→ABと→ACのなす角はA ) 
         =(x+y)(z+x) -x^2=xz+x^2+yz+xy-x^2=yz+zx+xy>0 [∵(0.1.4),(0.1.3),(0.1.1)]
即ち、4S^2=yz+zx+xy>0 
 (「証明」終わり)
0.2

以前のblog で示したように、
(ア)垂心Hの真の重心座標は  (yz/[yz+zx+xy],zx/[yz+zx+xy],xy/[yz+zx+xy])・・・(0.2.1)

(イ)外心Oの真の重心座標は (x(y+z)/2[yz+zx+xy],y(z+x)/2[yz+zx+xy],z(x+y)/2[yz+zx+xy])
                                 ・・・(0.2.2)
(ウ)内心Iの真の重心座標は   (a/(a+b+c),b/(a+b+c),c/(a+b+c))    ・・・(0.2.3)
(エ)傍心E_Aの真の重心座標は (-a/(-a+b+c),b/(-a+b+c),c/(-a+b+c))  ・・・(0.2.4)
(オ)重心Gの真の重心座標は  (1/3,1/3,1/3)            ・・・(0.2.5)

0.3

[補題0.3.1]
△ABCは正三角形 ⇔ x=y=z
「証明」
(0.1.1)から以前のblog で示したように、
x=(→AB,→AC)=(1/2)[AB^2+AC^2-BC^2]・・・(0.3.2)
y=(→BA,→BC)=(1/2)[BA^2+BC^2-AC^2]・・・(0.3.3)
z=(→CA,→CB)=(1/2)[CA^2+CB^2-AB^2]・・・(0.3.4) だから、
x=y ⇔ AB^2+AC^2-BC^2=BA^2+BC^2-AC^2 ⇔ 2AC^2=2BC^2 ⇔ CA=CB・・・(0.3.5) 
y=z ⇔ BA^2+BC^2-AC^2=CA^2+CB^2-AB^2 ⇔ 2AB^2=2AC^2 ⇔ AB=AC・・・(0.3.6)
よって x=y=z ⇔BC=CA=AB ⇔ △ABCは正三角形 
(「証明」終わり)
それでは、
表題の事実を証明する。4点の内2点が一致となる場合、4C2=6通り確認すればよい。

1.

垂心H=重心Gとする。まず (0.2.1)と(0.2.5)から、
   垂心H=重心G
⇔ (yz/[yz+zx+xy],zx/[yz+zx+xy],xy/[yz+zx+xy])=(1/3,1/3,1/3)
⇔ yz/[yz+zx+xy]=zx/[yz+zx+xy]=xy/[yz+zx+xy]=1/3 (0.1.5)からyz+zx+xy>0
よって 
⇒ yz=zx=xy ・・・(1.1)かつ yz=zx=xy>0・・・(1.2) 
 ゆえに(1.2)から、x≠0,y≠0、z≠0 よって (1.1)から
⇒ y=x かつ z=y ⇔ x=y=z したがって [補題0.3.1]より△ABCは正三角形 

2.
外心O=重心Gとする。まず (0.2.2)と(0.2.5)から、
   外心O=重心G
⇔ (x(y+z)/2[yz+zx+xy],y(z+x)/2[yz+zx+xy],z(x+y)/[2yz+zx+xy])=(1/3,1/3,1/3)
⇔ x(y+z)/2[yz+zx+xy]=y(z+x)/2[yz+zx+xy]=z(x+y)/2[yz+zx+xy]=1/3
⇔ x≠0,y≠0、z≠0 で x(y+z)=y(z+x)・・・(2.1) かつ y(z+x)=z(x+y)・・・(2.2)
⇔ x≠0,y≠0、z≠0 で xz=yz ・・・(2.3) かつ yx=zx ・・・(2.4)
⇔ x≠0,y≠0、z≠0 で x=y・・・(2.5) かつ y=z・・・(2.6)
⇔ x=y=z≠0 ゆえに [補題0.3.1]により △ABCは正三角形

3.

外心O=内心I とする。まず (0.2.2)と(0.2.3)から
  外心O=内心I
⇔  x(y+z)/2[yz+zx+xy]=a/[a+b+c]・・・(3.1) かつ
   y(z+x)/2[yz+zx+xy]=b/[a+b+c]・・・(3.2) かつ
   z(x+y)/2[yz+zx+xy]=c/[a+b+c]・・・(3.3)
ここで(0.1.2),(0.1.3),(0.1.4) から y+z=a^2,z+x=b^2,x+y=c^2
よって (3.1)(3.2)(3.3)は ax/2[yz+zx+xy]=1/[a+b+c]・・・(3.4) かつ 
 by/2[yz+zx+xy]=1/[a+b+c] ・・・(3.5) かつ cz/2[yz+zx+xy]=1/[a+b+c] ・・・(3.6)
 となる。
⇒ ax=by=cz>0  ・・・(3.7) ⇒  x>0,y>0,z>0であって、(3.7) を平方して
  (a^2)x^2=(b^2)y^2=(c^2)z^2 ここで再び  y+z=a^2,z+x=b^2,x+y=c^2より、
   (y+z)x^2=(z+x)y^2=(x+y)z^2 ・・・(3.8) となる。ところで
   (y+z)x^2=(z+x)y^2 ・・・① ⇔ xy(x-y)=-z(x^2-y^2) 
⇔ (x-y)[xy+z(x+y)]=0 ⇔ (x-y)[yz+zx+xy]=0 ここで(0.1.5)から
   yz+zx+xy>0 ゆえに x=y ・・・③ 同様にして(z+x)y^2=(x+y)z^2 ・・・② 
 ⇒ yz(y-z)=-x(y^2-z^2)⇔ (y-z)[yz+zx+xy]=0 よって y=z・・・④
ゆえに ③④から x=y=z よって [補題0.3.1]により △ABCは正三角形

4.
内心I=重心Gとする。まず (0.2.3)と(0.2.5)から、
   内心I=重心G 
⇔ a/(a+b+c)=1/3,,b/(a+b+c)=1/3,c/(a+b+c)=1/3 
⇔ a=b=c ⇔ △ABCは正三角形

5.
垂心H=外心Oとする。まず (0.2.1)と(0.2.2)から、
   垂心H=外心O 
⇔ yz/[yz+zx+xy]=x(y+z)/2[yz+zx+xy] ・・・(5.1) かつ
   zx/[yz+zx+xy]=y(z+x)/2[yz+zx+xy] ・・・(5.2)  かつ
  xy/[yz+zx+xy]=z(x+y)/2[yz+zx+xy] ・・・(5.3)
⇔(5.1)から 2yz=x(y+z) ・・・(5.4) かつ
  (5.2)から 2zx=y(z+x) ・・・(5.5) かつ
   (5.3)から 2xy=z(x+y) ・・・(5.6)
(5.4)から 3yz=yz+zx+xy>0 ⇒ yz>0 同様に (5.5)(5.6)から zx>0,xy>0
 よってxyz≠0 ・・・(5.7) がまずいえる。さて、
 (5.4)-(5.5)として 2(y-x)z=(x-y)z ⇔ 3(y-x)z=0 ここで z≠0[∵(5.7)]だから
 x=y ・・・(5.8) 次に (5.5)-(5.6)として 2(z-y)x=x(y-z)⇔3(z-y)x=0
 ここでまた x≠0 だから y=z ・・・(5.9) ゆえに(5.8)(5.9)より
 x=y=z  よって [補題0.3.1]により △ABCは正三角形

6.
垂心H=内心Iとする。まず (0.2.1)と(0.2.3)から
   垂心H=内心I
⇔ yz/[yz+zx+xy]=a/[a+b+c]・・・(6.1) かつ
   zx/[yz+zx+xy]=b/[a+b+c]・・・(6.2) かつ 
   xy/[yz+zx+xy]=c/[a+b+c]・・・(6.3)
よって (6.1)~(6.3)より xyz≠0 ・・・(6.4)
 (6.1)÷(6.2) ⇒ y/x=a/b⇔ ax=by ・・・(6.5) 
 (6.2)÷(6.3) ⇒ z/y=b/c⇔ by=cz ・・・(6.6)
 ゆえに ax=by=cz したがって平方して、a^2x^2=b^2y^2=c^2z^2
よって 3.の(3.7)と同様にして x=y=z となり [補題0.3.1]により △ABCは正三角形

☆ 以上により△ABCにおいて 五心の内、傍心を除いた二心が一致
 ⇒ その△ABCは正三角形が証明された。

☆☆
ところで どんな△ABCにおいても、「傍心が他の四心に一致することはない」ことを
示しておこう。
まず 傍心E_Aの真の重心座標は (-a/(-a+b+c),b/(-a+b+c),c/(-a+b+c))     ・・・(0.1.4)
-a/(-a+b+c)<0 であるから、これが内心I:(a/(a+b+c),b/(a+b+c),c/(a+b+c)),
重心G :(1/3,1/3,1/3) に一致することはない。
そこで、

7.

仮に「 垂心H=傍心E_A」になるとして、矛盾を導こう。まず (0.2.1)と(0.2.5)から、
   yz/[yz+zx+xy]=-a/[-a+b+c]・・・(7.1) かつ
   zx/[yz+zx+xy]=b/[-a+b+c]  ・・・(7.2) かつ 
   xy/[yz+zx+xy]=c/[-a+b+c]  ・・・(7.3) よって yz<0 かつzx>0 かつxy>0・・・(7.4)
 であって(7.1)÷(7.2) ⇒ y/x=-a/b ⇔ -ax=by・・・(7.5)
        (7.2)÷(7.3) ⇒ z/y=b/c  ⇔  bx=cz・・・(7.6)
(7.5)を平方して a^2x^2=b^2y^2 ゆえに 3.の(3.7)と同様にして (y+z)x^2=(z+x)y^2
 ⇔ (x-y)(yz+zx+xy)=0 yz+zx+xy>0 だから x=y ・・・(7.7)。(7.4)に注意して、
   x=y≠0 ・・・(7.7) となる。よって(7.5)から -a=b となり矛盾。

8.
仮に「 外心O=傍心E_A」になるとして、矛盾を導こう。まず (0.2.2)と(0.2.5)から、
   x(y+z)/2[yz+zx+xy]=-a/[-a+b+c] ・・・(8.1) かつ
   y(z+x)/2[yz+zx+xy]=  b/[-a+b+c] ・・・(8.2)  かつ
  z(x+y)/2[yz+zx+xy]= c/[-a+b+c] ・・・(8.3)
 よってまず、x<0,y>0,z>0 ・・・(8.4) y+z=a^2,z+x=b^2,x+y=c^2 だから (8.1)÷(8.2)
 より、(ax)/(by)=-1 ⇔ -ax=by ・・・(8.5)。(8.5)を平方して7.と同様にして、
  x=y≠0 ・・・(8.6)をうる。よって (8.5)から -a=bとなり矛盾。

9.

 以上により、どんな△ABCにおいても、「傍心E_Aが他の四心に一致することはない」
 ことが証明された。他の傍心E_B,E_Cについても同様に「他の四心に一致することはない」
 ことが証明される。
次回は「四面体の正弦定理」を利用した四面体ABCDの実例、または
「等積四面体 ⇒ 等面四面体」の「計算による証明」を紹介するつもりである。
最終更新:2018年07月15日 17:18