メタモン
英名Ditto 学名Amoeba chromosome
標準体長0.3m 標準体重4.0kg
「へんしんポケモン」に分類される、不定形型ポケモン。
原産地域は不明で、さらにいつ頃進化の分岐点から分かれたかさえ判明していない。
体色は単色であり、紫からピンクまでさまざまな色の個体が存在する。
スライム状の身体を持ち、アメーバ運動での移動が可能である。固定の器官を持たないのは
彼らのみが持つと言われる『変身能力』(後述)に関連があるといわれている。
メタモンは基本的に不老である。それはテロメラ―ゼと呼ばれる酵素が働いているために染色体が
破損せずに無尽蔵に分裂できるためだと言われる。
また、他の種族との交配も可能であり、自己の遺伝子による子孫の遺伝子への影響が少ないため
純系や優性の遺伝子を残そうとするブリーダーには少なからず重宝されている。
メタモンは意外にも早くからヒトと接しており、およそ1500年前には既に発見されていたといわれる。
しかし近世まではその形態模写能力が『悪魔の力』と見なされ研究や一般への理解が進まず、
その存在が正しい形で認識され出したのは今からおよそ100年ほど前からである。
この不思議な生物の大衆化は一大センセーションを巻き起こし、1920年代前半には欧米でメタモンの
需要が急速に広まる『メタモンブーム』を引き起こした。その為か当時の文学作品にも多く残され、
「テケリ・リ、テケリ・リ」と鳴き声をあげる事や、スライム状で不定形の身体を持つ事などはアメリカの
作家・ラヴクラフトの小説『狂気の山脈にて』に登場する生命体・ショゴスのモデルになったと言われている。
近代から現代にかけて人類が犯した最大の過ちの中にもメタモンは巻き込まれていった。
変身能力は物質兵器としてだけではなく、周りの景色と同化させて兵士を隠す、いわゆる光学迷彩の
先駆けとしての利用のための研究が進んだ。メタモンは他の種族との有性生殖だけではなく、
自己の身体を分裂させる事で新たな個体を作る無性生殖が可能である事も起因していたようだ。
そして1943年、過去最悪の実験が某国で行われた―――。
ここで読者諸兄に問おう。何故メタモンは変身が可能であるか説明できるだろうか?
答は彼らの学名の基礎ともなった「chromosome」、つまり「染色体」にある。
彼らは決まった体構築データを染色体上に持たない。それは彼らの染色体は常に生物学的に不安定な
状況に置かれている事を指す。細胞が色々な形に勝手に分岐してしまうのを抑え、さらにその方向を
コントロールする事で自己の形を保ったり、また別の『何か』に変身が可能であると推測されている。
そのため彼らには雌雄や形質の区別などはそれほど無く、自由な交配が可能なのである。そこで
こう考えればどうだろう。『もしも人間がメタモンの染色体を手にしたら、自由に細胞を変化させられる』…と。
遂に人間はその禁忌を犯してしまった。人間とメタモンのキメラを作り上げ戦況を有利にしようとしたのだ。
当然ながら現在の科学技術を以ってしてもそんな事は不可能であるため、実験は全て失敗したと伝えられる。
しかしながら、全て終わった訳ではなかった。とんでもない学説がその60年後に発表されたのだ。
それは『実験で唯一成功したキメラがまだ生存している』、さらに『現在も10代の少年とも少女ともつかぬ
ような姿をしており、その能力は人間離れしている』と言う俄かには信じ難い学説である。
実際に私はこの文章に執筆中に、上記の学説を発表したとある博士とのコンタクトを取ろうと図った。
しかし博士は既に何者かによって殺害された後であるとの返答が帰ってきており、さらに博士の遺体は最初
何処にも無く、詳細に調査と捜索を行った結果、書斎に置いてあった大きなガラス製の箱から粉々に砕かれた
『博士』が発見されたとの事である。
私は引き続き事の真相を調査し、一刻も早い真相の究明と公開を行う所存である。
最終更新:2007年08月07日 10:43