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 慌てて通路へ駆け出すかぶる。
 しかし逃げ道はない。まっすぐ逃げても背中から撃ち殺される。

 ならば――――。



おに「…………フっ、…………ふゥっ」

 ゴッ。

 2F西通路に鬼が足を踏み入れる。
 しかしそこには誰の影もなかった。

おに「………………?」

 西階段まで辿り着くのは時間的に不可能。
 ならばかぶるはどこへ消えたのか。

 まさか。
 「おに」は通路外壁の手すりに手をかけ、階下を見る。

 ここから飛び降り、下の階へ移動したというのか。

 飛び降りに失敗すれば地雷地帯に直撃。
 この局面でその判断が出来るとすれば、常人ではない。

おに「……………………」

 違う。やはり獲物はこの階。
 この階……、ここではなければ南通路のどこかで息を潜めている。

 「おに」が顔を上げた時。

 タタタタタタッ。

おに「!?」

 階下から聞こえる、走る音。
 「おに」は再び外壁に頭を出し、“1Fの南通路”に目を向けた。


 ――――誰かが走っている。


 まさか、本当に飛び降りたというのか。



 否、それはタイショーだった。
 タイショーは2F中央階段を降りた後、「おに」が追ってこないことに気付き、
 しばらく1Fで上の様子を探っていたのだ。

 そして銃声が再度鳴ったのを境に、走り出したのだ。

 ゴッ。

 「おに」が南通路へ向かって歩き出す。


かぶる「………………!」

 かぶるは、西通路にいた。
 部屋の扉の前。わずかに空いたその空間で身を丸め、息を潜めていた。

 その全身は剥き出しとなっており、隠れているとは言い難い状態。

 しかし、「おに」はかぶるを見つけられなかった。


 その頭に被る、馬のマスク。
 それによって視界が狭められており、通常なら見つけられるものも見つけられなくなっていたのだ。

 もし「おに」がマスクを被っていなければ、かぶるは即座に殺されていただろう。

かぶる(ああ、ありがとう……。被り物……!)

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最終更新:2014年04月26日 16:29