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──数時間後──
「はい、埼玉到着」
「ここ何て駅だっけ?」
平行がスマホを片手に水素に質問をする。
「後ろ」
と、水素が後ろの駅にでかでかと書かれた駅名を指差す。そよ駅の近くにいる人は、平日の昼間のせいか多い訳でも少ない訳でもない微妙な感じだ。
「サンクス、こっから埼玉入間向陽高校へ行くには……、やっぱバスなのかね、お、この距離なら歩いていけなくもないぞ」
まるでスマホに話しかけているような平行が画面をスライドさせてルート検索結果の地図の全体を見る。
「面倒くせぇ、バスでいい。バス」
水素がそう言いながら、平行のスマホに映し出されている地図を覗き見る。太陽光が反射して少し見えにくい。
「バスだろこれ、バスバス、バスにしようぜ」
「無人島のまな板みたいな言い方するなよ。で、そもそもバス停はどこよ、何の路線をいつ乗るのかわからんけど」
平行が駅の周りを見渡してバス停を探そうとした瞬間、注射器が入っているバッグを持った平行の左手に衝撃が走った。
「!?」
「お、おい!ひったくり野郎!」
状況が理解できず固まった平行をよそに、超反応で水素がバッグをひったくった人めがけて飛びかかる。
「すごいパーンチ!」
レベル5ではなくレベル0の威力だったが、ひったくりは軽く吹っ飛んだ。そしてすぐさま水素がひったくりからバッグを奪い返すと、平行の手を引っ張って周りの視線を集めながら走り去った。
「く、くそ、何だ……」
うつ伏せに倒れたひったくりが上半身を起こして周りを見渡す。めっちゃ見られてる。そのひったくりが視線を無視しながら腰のホルダーから無線機を取り出す。
「あー、こちら先行隊のレオン、ウイルスの回収に失敗したがやはり平行四辺形だった。あと水素もいた。あー、痛ぇ……」
ひったくり、ではなくアメリカ軍の先行隊のレオンが無線で連絡しながらゆっくり起き上がると、目の前に女性が立っていた。しかもその女性は110とタッチされたであろう携帯電話を片手に「お巡りさんこいつです」をやっている。
「あ……? はっ、Very cute(泣けるぜ)」
最終更新:2014年04月27日 16:39