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カラン、とその金属音に近い音が響いた瞬間に平行の回転が更に速まり、頂点に光が現れる。そして次の瞬間、平行の前方270度くらいに拡散されたビームがあちこちに乱射された。
「一発だけ撃てってことだよ! アスペ!」
そのビームはグチャグチャのキャンプを余計グチャグチャにし、そこにいた警察官、自衛隊、アメリカ軍までもを巻き込んで当たったもの全てを灰へと変えていく。
ウイルスで得た胴体視力を駆使してとんできたビーム全弾をギリギリながらかわした生徒が最後のビームをかわすと、アスファルトを脚力で砕いて平行の元へ飛び込み、平行四辺形の辺をキャッチする。
「逃がさねぇ!」
それに驚いたように平行が頂点からビーム生徒に向けて撃つが、自分の体に当たらないように撃っているため生徒にも当たらない。
「ちっ、当てる気ないなら撃つな平行!」
回転によって振り落とされないようにしっかり辺に捕まる生徒が叫ぶがまったく平行に響かない。そして彼女はほぼヤケクソになり、
「私の話を! 聞け! 平行四辺形!」
無意識に目をつぶるほど全力で叫んだ。裏路地でちょくえに叫んだときの咆哮のような叫びであった。
すると突如平行の回転が止まる。
「……、俺の声も聞こえるか?」
「……!?」
回転の停止に驚いていた生徒だけに、脳に直接音を送っているような頭の中でガンガン響く平行の声が聞こえ始め、驚きが余計強まる。
「な、何だ、平行」
「俺はウイルスに飲まれた。死んだも同然だし実際に死んでる。だから俺はこの体を自壊させる。そしてこれで全て終了だ。もう続けさせねぇ」
「わ、私はどうすれば」
「俺を殺せ」
その言葉を聞いた途端、生徒の背筋にビビッと電気が走ったような感覚が走った。
俺を殺せ、俺を殺せ、俺を殺せ、俺を殺せ……、
彼女の頭の中をその言葉だけが駆け巡る。話しかけている平行の声が聞こえない。
「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
突然発狂した生徒が感情に任せて何も考えず全力で今掴んでいる平行四辺形の辺をバキッとへし折った。その瞬間、頭の中の平行の声がピタリとやみ、代わりに平行四辺形の2本の対角線の交点あたりからボイラー室の音みたいな低い音がけたたましい音量で鳴り響いた。
「……!? わかったぞ平行! お前を殺す!」
斜めっている辺の上で立ち上がった生徒がへし折られた辺の片方を全力で踏みつけ、踏みつけられた辺は角から折れてそれが地面に轟音と共に落ちる。
そして生徒は手を休めることなく、へし折られた辺の残った方を馬鹿みたいな腕力で角から折って、その辺を右手に、左手でもう1つの辺に捕まり、右手に持った辺の一部を平行四辺形の内角に向かって全力で投げた。
投げられた辺の一部は内角をぶち破って平行四辺形を2分し、平行の隣のビルの壁に突き刺さった。
そして平行はボイラー室みたいな音を更に大きくならしながら、2分された体の上側をゆっくりと地面へと落とし始める。
「すまない」
平行のその言葉の後、バラバラになった平行四辺形は小さな破裂音と共に粉上になり、更にバラバラになる。
その黒い粉は雪のように静かに落ちてゆき、地面に着地して崩れる平行を見上げていた生徒にしんしんと降りかかった。
(完)
最終更新:2014年04月27日 17:53