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「ガハハ、綺麗になったじぇ」

 悪夢のような行為は数分続いた。
 これで満足してもらえた。後はいつものように行為をこなせば少なくとも死ぬことはない。
 生きてさえいればきっと希望はある。女は僅かな希望で心を保たせていた。

「ん?」

 不意に頭を掴まれ、顔を上げさせられる。

「おお、これは凄い偶然だじぇ」

 まじまじと顔を眺められる。少しでも表情に怒りや憎しみを混ぜてはいけない。
 殺されないため、女は無表情を貫く。

「なあ、さっき俺様が殺した奴。誰だったと思う?」

 突然の質問に女はやや困惑する。一体このハムスターは何がしたいのか。
 人間を殺したり、血を舐めさせたり、かと思いきや平然と会話しようとしてきたり。
 異常としか思えない。――異常なのだ。こいつらは。

「わ、分かりません……」

 消えてしまいそうなか細い声で女は答える。
 今はこのハムスター達に従うしかない。生きてさえいれば、生きてさえいればきっといつか助かる。

「そうか……。なら教えてやるじぇ」

 生きてさえいれば、きっと。

「お前の旦那だよ」

最終更新:2014年11月03日 23:11