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それから五年が過ぎた。
この短期間で人間の文明は6割まで復興。人々はもう以前の暮らしへと戻りつつあった。
そしてあの惨劇も歴史の影に消え去ろうとしていた。
ロコちゃんは木村と結婚していた。
「あれから五年……。時が経つのは早いわね」
「ああ……あの時の出来事がずっと昔のように感じられるよ」
「そうね……」
「それよりヒロ子、お腹の調子はどうだい」
ロコちゃんは大きくなったお腹を優しくさする。
この中には自分と木村との愛の結晶が眠っている。
「あ! いま動いたみたい」
「え! ほんと! 僕にも触らせてよ!」
(ハム太郎……あなたのおかげで世界は元の平和な姿に戻ったわ……。
ほとんどの人があの惨劇のことを忘れようとしているけど……私は忘れない。
ハム太郎、この先一秒たりともあなたのことは忘れないからね。
だから……私達人間を見守っていて)
最終更新:2014年11月03日 23:58